便利機能にもオフにした方が良いケースが存在!
自分の愛車の運転席まわりに備わるスイッチについて、すべての機能を把握しているだろうか?
最近はクルマの機能もタッチパネル操作で行うことが増え、先進的なクルマほどメカニカルに操作するスイッチ類は減る傾向にあるものの、今でもスイッチの多さは多機能の証と言わんばかりに、多数のスイッチを並べるクルマはまだ多い。
オーディオやエアコン、ドライブモードの切り替えなど、操作する頻度の高いスイッチは直感的に操作できるように配慮されている場合が多く、これらの用途は誰にとってもわかりやすいものになっている。
一方で、安全装備など操作頻度の低いスイッチはインパネの右端(左ハンドルの場合は左端)など、少しわかりにくい場所に配置されることもあって、まったく操作することもなく、いつしか存在さえ忘れてしまうものだ。
納車の時に販売スタッフから細かく説明された時の記憶はすでになく、用途がよくわからなくなっている人は少なくない。普及が進んだ機能をオフにする意味や狙いについて、簡単におさらいしておこう。
1)横滑り防止システム
現在日本で売られる乗用車の新車のほとんどに装備されている。「ESP」や「ESC」、「VDS」や「VDC」など、呼び名はメーカーによって異なるが(トラクションコントロールシステムの場合は「TRC」など)、スイッチにクルマが横にフラついている様子が描かれている場合が多い。
どれも基本的な機能は同じで、滑りやすい路面で挙動を乱したときに、クルマが自動で乱れた挙動を修正して安定性を取り戻してくれるという、非常に重要な装備だ。ABSとトラクションコントロールシステムのON/OFF操作スイッチが別に用意される場合、また長押しなどスイッチ操作の仕方で段階的に切り替えられる仕様とするクルマもある。
これを走行中にオフにする必要性はほとんどないものの、横滑り防止システムやトラクションコントロールシステムがあると、アクセルを踏み込んだ際にタイヤが空転するのを抑える制御が働くことにより、凍結路や豪雪路、または砂地や泥濘路など路面のミューが極端に低い場所での発進が困難になってしまう場合がある。
どんなクルマでもアクセルON時に駆動輪が空転すると挙動が乱れやすくなるので、エンジンパワーを落としたりブレーキをかけるなどしてそれを抑えるわけだが、豪雪やぬかるんだ場所での発進時においては、推進力が絞られすぎて発進をより困難にしてしまう可能性がある。そういったときには、横滑り防止システム、またはトラクションコントロールをオフにした方が良い場合もあるのだ。
豪雪やぬかるんだ場所でスタック、またはスタックしそうになったら、横滑り防止システムやトラクションコントロールはオフにして、前進と後退を交互に繰り返すなどすれば、安定性を確保しやすくなる場合がある、ということを思い出してみよう。タイヤの下に木の板や棒、毛布などを敷き、タイヤの空転をある程度許しながら駆動力を取り戻すという方法も有効だ。また、トラクションコントロール機能はオフにできても、横滑り防止システムを100%オフにはできない車種も少なくない。
さらに、SUBARUの最新のSUVに装備される「Xモード」など、横滑り防止システムと連動して滑りやすい状況からの発進をサポートする機能もある。本格派のAWDシステムを備えるクルマでは、横滑り防止システムをオンにした状態でないと本来の駆動力が発揮できない場合もあるので、車種や状況により異なるということも忘れないでおきたい。
また、スポーツモデルではサーキットなどのクローズドな場所でスポーツ走行を楽しむ際、横滑り防止システムやトラクションコントロールが邪魔になると感じた場合もオフにしてみよう。