「世界で通用しない」のではなく「させない」! 日本が日本のために作った「国内専用車」のスゴさとは (2/2ページ)

使い勝手の良さが群を抜いている!

 たとえば、ドリンクホルダー。グローバルモデルでも標準装備されているが、日本のニーズを最大限にくみ取って開発された軽自動車などでは丸い缶やペットボトルだけでなく、四角い紙パックも置くことのできる形状になっていることが多い。一事が万事というが、こうした細かい部分での使い勝手の良さは全体としての仕上がりの差につながっている。

 スライドドアのミニバンも日本専用モデルは多い。こちらも使い勝手の面でグローバルモデルと比較すると、利便性に優位と感じるシーンは多い。さらにいえば、スライドドアというのはボディ剛性の面などから専用プラットフォームを求めがちで、結果的にクルマのアーキテクチャ全体が日本専用に作られる傾向にある。それが、日本での使われ方にマッチしたハードウェアにつながっている。

 また、市街地での取り回しについてはボディサイズや見切りの良さが重要なファクターとなる。軽自動車にしても5ナンバーサイズのスライドドア・ミニバンにしても日本で多くのドライバーが取り回しやすい視界やサイズとなっている。売れて当然だ。

 そうした日本専用モデルの代表格といえば、軽自動車ではホンダN-BOX、登録車ではトヨタ・シエンタあたりだろうか。ドイツのクルマづくりを絶対とする人からみると、走りに物足りなさを感じるかもしれないが、高速域での安定性を絶対視するのは疑問だ。

 使い勝手が良いと感じる国内専用モデルは、日本の速度域において走りやすいセッティングになっていることが多い。超高速域での安定性のために日常域では乗り心地が硬いというのは、多くのユーザーにとってはナンセンスであって、せいぜい120km/hまでしか出さないのであれば、それ以上の領域へのニーズがあるとは思えない。

 むしろ、日本で使われる速度域に合わせて作り込んでいる分、変速機の制御なども含めて日常使いでの満足度は高くなる。かつて某ドイツ系メーカーのエンジニア氏にトランスミッションについて質問したときに「渋滞の多い日本で使うなら、日本向けに低いギヤ比にしたほうが合っている(ドイツ仕様のままではマッチしていない)」という回答を得たこともある。

 レーシングカーでは、走るステージに合わせてエンジン特性、ギヤ比、シャシーなどのセッティングを最適化するのは当然の話。その意味で日本専用モデルというのは、日本の道路環境で使うにはベストの選択といえるのだ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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モトブログを作ること
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