コロナで新車は売れないが販売ノルマは変わらず! 悩める新車ディーラーのいま (2/2ページ)

新型コロナは販売ノルマ未達成の言い訳にはならない

 点検入庫時には作業前に除菌を行い、さらに作業終了時にも除菌対応を行っているとのことである。なお、時短営業となったことにより、点検・整備の入庫スケジュールはますます過密となり、多忙を極めているとのことだ。「いまのこの状況下で、新車の購入を検討するお客はいるのか?」と聞くと、「まったくいないわけではありませんが、かなり少ないですね」と答えてくれた。このセールスマンによると、政府や自治体の要請もあり、在宅勤務する人や営業自粛で休業となり自宅待機となっているお客も多く、通常時より既納客に接触することができる機会は増えているため、新車への乗り換え案内など販売促進活動をしているとのことだが……。

「時間はあるようなので、お話を聞いていただくことはできても、やはり“将来への不安”が先立ってしまうようです。同じように勤務先が休業となっても、会社によって給与補償が満額のところもあれば、6〜7割になっているところもあるようです。もちろん残業代なども加算されませんので、新車への乗り換えなどの検討はかなり難しいようです。いまは新車購入時に残価設定ローンをご利用していただくことが多いのですが、収入が目減りしている現状、そして将来への不安が高まる現状では、ますます新車への乗り換えを今検討していただくのは厳しい状況といえます」(前出セールスマン)。

 ただ、そこで手をこまねいているだけではなさそうだ。「すでに年金生活に入られているリタイア層で、比較的裕福なお客様には、この時期でも新車へお乗り換えしていただける可能性が高いものとして動いております」とセールスマンは語ってくれた。

 新型コロナウイルス感染問題により一部の部品調達が困難となり、一部車種にすでに納期遅延が発生しているなど新車の需給状況が不安定となっているが(今後さらに深刻化しそうだ)、たとえ異常事態とはいえ新車販売業務を続けている限りは、各ディーラー店舗やセールスマン個々へは販売ノルマが通常期と変わらず課されており、「新型コロナ問題が深刻なので……」というのはノルマ未達の理由にはならないのである。

 新車販売だけではなく、法定点検や車検など車両メンテナンスも受け付けていることもあり、よほどのことがない限り営業自粛などは行なわないのではないかともされているが、今後の感染拡大状況による、政府の対応変化次第ではどうなるかはわからないともいえよう。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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