スバルが自社開発したコンパクトカーはかつてのジャスティのみ!
今も昔も、安価で便利なクルマといえばコンパクトカー。欧州市場で言うところのBセグメント車の開発と販売に力を入れるメーカーは多い。トヨタはヴィッツを国内向けもヤリスに改名し、スポーツモデルをWRCに参戦させてイメージアップに成功。ホンダはフィット、マツダはMAZDA2(旧デミオ)など、国内メーカー各社には魅力的なコンパクトカーがラインアップされている。そんななか、SUBARUは長らくOEM供給車しかコンパクトカーを販売していない。その理由は何なのか?
一言でいえば、「今のSUBARUにコンパクトカーを自社生産するメリットはない」ということに尽きる。
コンパクトカーは国内市場では一定数が見込めるものの、利益率は低く、Bセグ車はSUBARUが得意とする北米市場では拡販が望めない。それゆえに、これからコンパクトカー用のプラットフォームやパワートレインを新規開発してまで参入するのは極めて厳しい話だ。仮に筆者がSUBARUの経営者だったとしたら、まだ当面コンパクトカーとミニバン市場には手を出したくないと考えるだろう。もしコンパクトカーの販売に力を入れるのなら、新規で自社開発するより、提携を強化したトヨタからヤリスをOEM供給してもらうほうが、はるかに効率的だと考えるのではないだろうか。
今年の後半に発売される予定の次期型レヴォーグがデビューすれば、SUBARUの乗用車のラインアップは、SGPと呼ばれる新世代プラットフォームに統一され、効率化がさらに進む。このSGPをベースにBセグメントのクルマを作ることができれば、比較的現実的な話になりそうだが、開発エンジニアにそれを尋ねると、簡単なことではなさそうだ。
歴史を振り返ると、スバルが自社開発したコンパクトカーはジャスティ(1984~1994年)のみ。これは軽自動車のレックスをベースにボディを拡幅したもので、プラットフォームなどの基本コンポーネンツから専用に企画、設計したコンパクトカーを販売した実績はない。リッターカー級はほかに7人乗りコンパクトワンボックスのドミンゴが存在したが、これも軽自動車サンバーの拡幅版だった。