老化を自覚したらどうする? 高齢者のクルマの選びのポイントと運転での注意点 (1/2ページ)

手元が見えにくいと運転中では命取りになる

 高齢者の運転による交通事故が多くなり、今年4月6~15日の春の交通安全運動期間でも、子どもをはじめとする歩行者の安全確保、自転車の安全利用の推進、二輪車の事故防止とともに、高齢運転者等の安全運転の励行が主要な項目に挙げられている。

 ところで、いつから高齢者なのか。年齢による区分けの仕方もあるが、老化の様子は人それぞれで、単に年齢だけで当てはめることはできないだろう。ひとつの目安は、老眼ではないか。人は生活の9割を視力に頼っているといわれる。目の衰えは当然運転にも影響を及ぼす。老眼を自覚するようになったら、身体機能にも老化がはじまっている可能性を意識するといいのではないだろうか。

 老眼の影響は、遠近の調節機能で実感しやすい。運転では、前方を見る視線からメーターやカーナビゲーションを確認しようとしたときに起こる。手前のメーターや画面に焦点が合いにくくて見にくいだけでなく、焦点が合うまで時間がかかり、つい見つめてしまいがちになる。

 その間、前方確認できない時間が伸びる。たとえ時速20kmというゆっくりした速度でも、1秒間に5.5m先へ進んでしまうので、路地から人や自転車などが出てくるのを見落とす可能性がある。時速40kmであれば10m以上先へ進んでしまうのだから、目線の移動はかなり危険をはらんでいる。

 そこで少なくとも速度計は、大きめの文字のデジタル表示がいいだろう。アナログ式では、針の動きは見えても数字を読みとれない可能性がある。一方で、乗りなれたクルマであれば、針の位置でおよその速度を確認できる利点もある。

 カーナビゲーションの画面は、大きめであるにこしたことはない。そのうえで目的地設定をして音声案内を活用すれば、あまり目線を動かさずに済むかもしれない。ただし、右左折の案内は、その地点までの距離感をつかみにくい場合があるので、画面を頼りにしなければならない場合が多い。その点、音声案内の言い方もメーカーによって若干違うので、自分に合う銘柄を探せるとよい。メーカーにも、そうした配慮で開発してもらいたいものだ。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター

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趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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