日本でバカ売れの「国産ミニバン」が世界的な人気とならないワケ (2/2ページ)

アメリカでは「できれば乗りたくないクルマ」とされている

 アメリカでのミニバンといえば、サッカーマムのクルマと言われることが多い。子どものサッカークラブや学校の送り迎えのために使うことが重視される、まさに家族送迎車だ。

 子どもから見れば、ミニバンで迎えにくるよりシボレー・サバーバンやBMW・X5など上級SUVのほうが、友達たちに対して自慢できる。ご主人の立場でも「送迎車や商用車っぽくて……」「できれば、運転したくない」という人が多い。要するに、アメリカ人にとってミニバンは「ダサいクルマ」なのだ。こうした意識は、古くはダッジ・キャラバンでアメリカ人のなかに深く浸透した印象がある。

 このほか中国や東南アジアでも、ミニバンは送迎車や商用車の意識が強い。一部には、アルファード・ヴェルファイアを好む人がいて、そのためレクサスLMが登場したが、こちらはあくまでも、運転手付きのショーファーカーだ。

 日系自動車メーカーの役員が以前、こう話していた。「日本のミニバンが、世界のなかで極めて特殊な存在」だと。さらに「日本人は家族との大切な空間そのものを、ミニバンのなかで再現しようとする」とも言った。社会学的、また歴史的な背景が日本のミニバン文化を築いた。日本独特のミニバン文化は、世界には通用しない。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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