今後も3気筒エンジンの採用はますます増えるだろう
なぜ3気筒が増えているのかといえば、大きく2つの理由が考えられる。
ひとつは、モジュール設計によるものだ。いまのエンジンというのは燃焼室の状態をしっかりとシミュレーションして開発している。ガソリンエンジンでいえばヘッド側の形状、ピストントップのデザインは各社がひとつの正解に導き出したもの。同じ形状であれば同様の結果が出るわけではなく、そのボア径によって最適な形状は決まってくる。そのため、排気量が異なるからといってボアを変えるのは筋が悪いやり方だ。
結果的に、同じボアのエンジンで気筒数を変えて排気量の異なるエンジンを作り分けるというのがベストの選択になる。その代表といえるのがBMWやメルセデスのやり方で、同じボア×ストロークのまま1.5リッターは3気筒、2リッターは4気筒、3リッターは6気筒としている。
もうひとつは、そもそもシリンダー数を減らすことによる効率アップだ。1.2~1.5リッタークラスのエンジンについて、かつては4気筒が主流だったが、気筒数が多いと部品点数が多くなるコストも増えるものの、摩擦する箇所も増える。ピストン、カム、バルブなど動いている部分のほとんどすべてで何らかの摩擦抵抗が発生しているのだから、発生箇所を減らすことは機械効率のアップにつながる。
こうした考え方を「レスシリンダー」と呼んだりする。ヤリスが3気筒エンジン専用モデルとして開発されたのは、まさしく効率的なパワーユニットを搭載することを第一に考えたから、といえる。
というわけで、3気筒エンジンの採用例はますます拡大していくことだろう。