日本未導入のS209にスバリストが試乗! 「走りを極めれば安全になる」の極致 (1/2ページ)

アメリカ専売のS209が群サイに現る!

 2019年1月15日、日本のスバリストたちは揃って肩を落とした。いや、そんな表現すら生ぬるいほどの落胆である。

 この日、デトロイトモーターショーにて、スバルのSシリーズの最新モデル「S209」が公開された(現地時間:2019年1月14日)。本来、新たなSシリーズの発表となれば、スバリストには歓喜の瞬間であり、ライバル車に乗る自動車ファンも注目必至のイベント……のハズだ。

 だがしかし、なんとこのS209、Sシリーズ初のアメリカ専売モデルであり、日本での販売の予定はないとアナウンスされたのだ。

 私も一丁前に肩を落としたスバリストのひとり。S208で626万〜710万円というプライスタグ。私に買えるわけはないのだが、日本の道を颯爽と駆け抜けるS209を見ることはないのかと思うと、絶望的な気持ちになった。

 Sシリーズとは、スバルのモータスポーツへの参戦や、それを反映した車両やパーツの開発を手がけるSTI(スバル・テクニカ・インターナショナル)が生み出すコンプリートカーの最高峰。「tS」との違いはエンジンチューニングまで施されている点だ。

 WRXをベースとするS201、S202、S203、S204、R205、S206、S207、S208、S209、レガシィをベースとするS401、S402が存在し、R205は公道の走りにこだわって開発されたため、唯一Sではなく「Road(ロード)」の頭文字「R」がその名に与えられている。

 各モデル台数限定で販売され、S209はその名にちなんで209台限定。余談だがGRB型WRX STIオーナーの私は愛車にR205のマフラーを入れたいと考えたことがあったが、オプションでは用意されておらず、正規ディーラーでの購入にはR205の車検証が必要とのことだった(あぁ、あのバリバリといった音が憧れだったのに……)。それだけSシリーズはSTIが心血を注いで生み出された至宝であり、その走りを味わえるのは手にした人だけの特権なのだろう。

 涙に暮れた1月15日の私には、まさかそんなS209に触れられる日が来るとは思いもしなかった……。だがしかし、奇跡というのは突然起こるもの。スバルからの「S209取材会」の案内。一瞬脳がフリーズするも、我に返る。上司に土下座する勢いで懇願し、現場に行く許可を得た次第だ。

 そんなワケで、ある意味コアなスバリストの聖地、群馬サイクルスポーツセンターでS209と感動の対面を果たす。フロントアンダースポイラーやフロントバンパーサイドカナード、ドライカーボン製リヤウイングなどのエアロパーツやカーボンルーフ、そして見慣れぬワイドボディを纏ったVAB(最終型WRX STI)の威厳たるや、そびえ立つ赤城山も真っ青である!

 国内のWRX STIのエンジンは2リッターターボの名機EJ20であったが、米国仕様には2.5リッターターボのEJ25が搭載される。震える指でスタートボタンを押し、エンジンをかけてみると、迫力に溢れ、新鮮ではあるがどこか懐かしい排気音が耳に届く。思えば、EJ25はエキマニが不等長だ。かつてスバリストたちが愛した、もう日本の現行車では聞くことのできないボクサーサウンドに心酔せずにはいられない。


乾ひかり INUI HIKARI

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愛車
スバル・インプレッサWRX STI(GRB)
趣味
ひとりドライブ旅、読書、音楽鑑賞(ライブ参戦)
好きな有名人
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