大手メーカーの傘下になることのメリットは多々ある
ランボルギーニとベントレーはフォルクスワーゲングループ。またロールスロイスはBMWグループの一員になった。大手の傘下になることでのメリットは大きい。
まずは、部品の共有化による購買コストの削減だ。大きな部材としてみれば、車体、エンジン、ミッション、最近ではプラグインハイブリッドやEVなどの電動系のモーター、制御装置、リチウムイオン二次電池など、幅広い分野で原価低減に寄与する。
生産に関しては、工場全体の設計や生産(プレス、塗装、溶接、組み立てライン)における設備についても、大手メーカーを経由して機器を購入したり、製造に関する知見を得ることで結果的に大幅な経費削減となる。
また、販売についても効果は大きい。フランチャイズ販売について同じグループのマルチブランド販売を手掛ける大手代理店との契約が可能となる。それに伴うマーケティング活動の一部を共有化することもできるのだ。こうしたさまざまなメリットを得て、生産から販売までの安定した体制が敷かれたうえで、積極的なブランディングが可能となる。
具体的には、中核の価格帯を引き上げたうえで、より上級なモデルとエントリーモデルを取りそろえる。さらに、SUVに見られるようなクロスオーバーを手掛けることでモデルラインアップを拡充するといったこともできるようになるのだ。
原価削減と販売価格の高値安定を並行して行えることによって、メーカーとしての営業利益が上がる。また、販売をメーカー直営で行う場合、リセールバリュー(買取価格)を高値で安定させ、新車の買い替えを円滑に行うことで、メーカーとしての生産台数が増えるという好循環を生む。
ただ、超高級ブランドとしての価値を維持するため、販売台数は”ほど良い”ことが重要となる。