【試乗】悪路に強い三菱RVRがもたらす安心感! SUVブームだからこそ見直すべき走りとは (2/2ページ)

悪路走破性の高さは「足を伸ばそう」という気持ちを後押しする

 そして今回、志賀高原を登っていくと、雪解けのウエット、シャーベット、そして一部圧雪路にも遭遇した。ここで効いてきたのが4WDを含めた悪路走破性だ。RVRにはボタン式のドライブモードセレクター装備されており、FF、4WD、4WD LOCK(センターデフロック)の3つが選択できる。今回はさほどの雪ではなかったので、4WD LOCKの出番はなかったものの、やはりイザというとき気軽に4WD切り替えができることは安心感に繋がる。たとえ都市部であっても、雪の上り坂で信号停車した際、4WDモードがあるとないとでは大違いだと言えよう。

 そんな4WDモードと共に、RVRの魅力といえるのがアプローチ&ディパーチャーアングル、そして最低地上高だ。アプローチアングルは20.1度、ディパーチャーアングルは31.4度、さらに最低地上高は205mm(Gグレード)という数値。長野の観光スポットを巡るなかで、駐車場への段差や、ハードな砂利道なども走行したが、気を遣わずともクルマを擦ることのない頼もしさは、より色々なところに行ってみようという気にさせる。ちなみにエクリプスクロスの最低地上高は175mmなので、ほぼ同じようなボディサイズでも、RVRはより悪路寄りのキャラクターといってもいいだろう。

 さて、クルマ好きが長野で走るといえば、美しい景観が楽しめる山道、「ビーナスライン」は外せない。周囲の山は若干白いものの、志賀高原と違い路面は完全ドライ。ダイナミックにアップダウンのあるコーナーを堪能することができた。最低地上高も高く、全高も高めに設定されているSUVゆえ、やはりキビキビとした走りとはいかない。だが左右コーナーの切り返しでも、グラッと不安定になるような動きはない。また、上り下りのコーナーであまりステアリング特性が変わらない点も好印象だ。結果、美しい景色を望みつつ、ゆったりとドライブを楽しむことができた。

 さて、そんなRVR。現行モデルは登場からすでに10年が経過していると聞くと、そんなに経つ? と感じるのが正直な印象だ。実際、その間のマイナーチェンジなどにより見た目は大きく変わり、先進安全装備&運転支援装備が採用され、スマホ連携ナビがオプションで設定されるなど、もはや別モノといっていいクルマに進化している。そう、現行デリカD:5が登場したときに、これでフルモデルチェンジじゃないの? と感じたものと同じである。

 使い勝手に関しても、特筆すべき飛び道具的なウリはないものの、ラゲッジの使い勝手や収納力、インテリアの収納などに何ら不満はない。しかしながら販売台数でいえば2020年3月で、240台と非常に寂しい。SUVブームのいま、中身を知ればもっと売れていいというのが正直な印象だ。

 三菱のデザインコンセプトである「ダイナミックシールド」に基づいた、男臭いともいえる力強い見た目、それを裏切らない悪路走破性をもち合わせた走り。SUVに何を求めるかは人それぞれで構わないし、メーカーがSUVという括りをどう捉えるかも幅があって問題ない。だが、いざというときの「本物」がもつ安心感は、ユーザーにとって大きなメリットになる、そんなことを感じさせてくれたRVRだった。


石田貴臣 ISHIDA TAKAOMI

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