規模が大きすぎるために車種ごとのブランディングが効く! 世界的な「顔統一」の流れにトヨタが乗らないワケ (2/2ページ)

レクサスやGRシリーズは統一路線でブランド化する

 ブランディングに影響するのは販売規模だけでない。ランドクルーザーという名前は、その響きだけで強い信頼性を感じさせる。まさに独立したブランド力を持っているといえる。

 このようにトヨタのなかに、強烈な個性のあるブランドが存在しているのだ。

 そのため、仮にトヨタ自身がブランドを統一しようとしても、各モデルが持っているブランド力が上まわってしまうこともあるだろうし、そうした価値をなくしてまで統一する価値があるかといえば疑問だ。いまのトヨタ・ラインアップのブランディングはいいバランスが取れている。

 ただし、前述したように「レクサス」はスピンドルグリルによって統一性を持たせているし、スポーツカーコンバージョンである「GR」系モデルにおいても共通の顔つきとしている。

 なお、レクサスのグローバル販売は2019年実績で76万台。冒頭で例に挙げたマツダやスバルが100万〜150万台の販売実績であるから、このくらいの規模感であれば顔つきを統一するほうがブランディングには効いてくるのだろう。

 あらためて整理すれば、TOYOTAというブランドはイメージを統一するには、あまりにもスケールが大きく、個別のモデルが持つ個性(ブランド力)も強い。ユーザーは各モデルに異なるイメージを持っている、あえて個々のブランド力を消してまでブランドを再構築する必要もないのだ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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