「打倒N-BOX」をもくろむ新型日産ルークス!
今、日本でいちばん売れているクルマはホンダN-BOX。そして国産車全体の販売台数ベスト6を軽自動車が独占し、ベスト4のうち3台が、1位N-BOX、3位ダイハツ・タント、4位スズキ・スペーシアという、ミニミニバンとも呼べるスーパーハイト系軽乗用車だ。では2位に割って入るクルマはというと、ハイトワゴン系の日産デイズである(2020年2月のデータ)。
そんななか、スーパーハイト系軽自動車に「打倒N-BOX」をもくろむ新たなモデルが登場した。そう、3月19日に発売が開始された日産デイズルークス改め、日産ルークスである。日産が初めて軽自動車をいちから開発した大人気のデイズをベースに、スーパーハイト系に仕立てた待望の1台であり、基本部分は三菱ekスペースと同じと考えていい。
ここでは、王者であるN-BOXに対して、新型ルークスのどこが優位なのかを解説したい。まだ試乗は行っていないので、公表されているスペックに基づいた評価と、ショールームでの印象であることをお断りしておきたい。
まずパッケージングでは、ボディの全長、全幅は軽乗用車の規格上、同一。全高もN-BOXが1790mm、ルークスが1780mmとほぼ同じである。ホイールベースはN-BOXが2520mm、ルークスが2495mm。室内長もN-BOXが2240mm、ルークス2200mmと、N-BOXがリードしている(長い)。
とはいえ、N-BOXを徹底研究しているはずの新型ルークスだけに、パッケージングの”技”で、後席膝まわり空間はほぼ同一。身長172cmの筆者がドライビングポジションを決めた背後に座れば、最大約450mm前後のスペース(N-BOX)があるから十分すぎる。ここまでの広さになると、優劣はつけられない。大型セダンの倍近くはあるからだ。
運転席に座ったときの視界は、ルークスが高い。なにしろ先代デイズルークスに対してヒップポイント(着座位置)を60mmも高め、インパネ上面をすっきりとした水平基調にすることで、ミニバン並みの見晴らし視界が得られるとともに、車体前端直近の視認性を高めている。前席の見晴らし視界、という点ではルークスが優位になるはずだ。
スライドドア開口部の幅も、N-BOXの600mmに対して、新型ルークスはBピラーを前出しするなどして650mmまで拡大。これは、意外に狭かった先代デイズルークス比+95mm。新旧ルークス同士の比較で大きく進化した部分のひとつであり、子供を抱いた母親の乗り降りのしやすさは劇的に向上しているに違いない。また、子供を抱いていたり、両手がふさがっているときなどの後席乗降に便利な、足の操作でスライドドアをロック、アンロック、開閉できるハンズフリーオートスライドドアは、N-BOXが助手席側のみの用意に対して、新型ルークスは両側に設定。そこまで必要か? という議論はさておき、便利な装備面でリードしていることは間違いない。
夏のドライブで優位なのが、後席頭上にあるシーリングファン。エアコンの冷気を車内にまんべんなく届けることができるサーキュレーター的機能で、このクラスではスペーシアが初採用しているが、N-BOXにはない。スーパーハイト系は室内空間がたっぷりあるため、あればより後席の快適性が高まるはず。ただし、シーリングファンが発する騒音については、未確認。新型タントで見送られたのは、その騒音を嫌がったからとの説明だ。