SUVブームによりセグメントという表現が適切でなくなってきた
クルマのセグメントには、Aセグメント、Bセグメント、Cセグメント、Dセグメントと大きく4つある。ざっくりいえば、ボディサイズやエンジンサイズでAから順に大きくなる。基本的には、セグメントは乗用車に対して使う。
日本では事実上、Aセグメントは存在しない。小型車、またはコンパクトカーと呼ばれるトヨタ・ヤリス(旧ヴィッツ)、ホンダ・フィット、マツダ2などがBセグメントとなる。このBセグメントを軸として、もう少し小さいクルマがAセグメントだ。そうなると、軽自動車がAセグメントに相当するはずだが、軽自動車にはボディ寸法やエンジン排気排気量などの規定があるため、一般的にはAセグメントとは呼ばれない。
つまり、セグメントは法律に裏打ちされた明確な区分ではなく、”商品群”といったイメージである。インドでは、軽自動車より少し大きく、Bセグメントよりは小さい”商品群”があり、それがAセグメントにあたる。
次にCセグメントだが、長きに渡り「Cセグメントのベンチマーク」と世界の自動車メーカーから称されていたのがフォルクスワーゲン・ゴルフだ。日系では、トヨタ・カローラやホンダ・シビックがCセグメントになる。だが90年代以降、アメリカを中心にCセグメントセダンの大型化が進むと同時に、Cセグメント用の車体をひとつ上でのDセグメントで共用する動きが進んだ。そのため、自動車メーカーではC/Dセグメントと呼ぶことが増えた。
前述のようにセグメントは本来、乗用車に対する考え方だ。ところが、世界市場ではアメリカを筆頭にSUVが乗用の主流にシフトしており、セグメントという表現がマッチしなくなってきた。本来、商用であるピックアップトラックから派生したのがSUV。だが90年代中盤以降、C/Dセグメント乗用車と車体やエンジンを共有化するSUVが一気に増加。そうなるとC/DセグメントSUVということになるのだが、そうした言い方は使わない。
その代わり、自動車メーカー各社は各セグメントに対応した共通車体を開発し、それを基盤にしてモデルラインアップを拡充している。”商品群”としてセグメントの在り方が大きく変わっており、もはやセグメントという言葉自体が時代にマッチしないのかもしれない。
それよりもクロスオーバーSUV、プレミアムカー、ショーファーカーといった、商品の特徴を表現するカテゴリーという考え方がこれからの常識になるかもしれない。