レースの車両にはドライエアが充填されている!
タイヤに窒素ガスを入れるというのが、一時期流行った。いまでもサービスとして提供されている。入れている方もいるかと思うが、オススメの理由のひとつにレースでは常識です、みたいな謳い文句があった。
これはホントで、空気は酸素分子と窒素分子が主に含まれるが、酸素分子に比べて窒素分子のほうが大きいために、窒素のみにしたほうがエア圧が下がりにくいというメリット、さらに水分の含まれていない窒素ガスを充填することで、タイヤの発熱による膨張が押さえられ、走行中の空気圧が変化しにくいというメリットがあった。
しかし最近ではF1やGT、プロトタイプやインディなどのいわゆるトップカテゴリーの車両には、ドライエアが充填されている。ドライエアはその名前からもわかるとおり、水分を除去した空気だ。
レース車両は空気圧管理が非常にシビアであり、コンマいくつまで徹底的に管理する。空気圧の変化はタイムに大きな影響を与えるからで、前述のとおり窒素は安定しているからというのが使用する理由だった。ただし、窒素にはわずかだが水分が含まれているのと、別途ボンベを購入してそれを持ち運ばないといけないというデメリットもあった。
それがドライエアに変わった理由は、空気から水分を取り除けいいだけなので、発生マシンさえあればその場でどんどん作り出すことができる。
空気から水分を除去すると聞いて、詳しい方ならエアコンプレッサーもフィルターを付けて取り除いているからそれでいいのではと思うかもしれないが、コンプレッサーに付けるフィルター程度では水分は完全に除去できないのが実際のところ。たとえばわずか1パーセントの水分でも、空気圧は変化すると言われている。
ドライエア発生マシンは強制乾燥を行い、水分を徹底的に除去するので、目に見える空気圧変化がない。市販車でもドライエアを充填するショップは普及しつつある。