加速度的に進むクルマの電動化でインフラ整備が難しい発展途上国はどうなるのか (2/2ページ)

発展途上国は送電の問題や道徳的な難しさがある

 こうしたEVの課題について価格と航続距離という商品性については、世界共通である。一方、充電インフラは国や地域によって社会背景が大きく違う。

 なかでも、発展途上国では電力の安定供給が難しい場合がある。発電所では一定量の電力を供給できても、問題はその先、送電にある。送電所の設備不良だけではなく、市街地では送電線から自宅に無断で接続する、盗電が日常的に行われている場合もある。

 このような状況でも、発展途上国の一部では、モーター出力が低い小型EVタクシーなどを運用するケースもある。だが、日産リーフ級の乗用EVを普及させるためには、人々に対して「生活の中で正しく電気をつかう」という道徳的な観点が必要だ。

 ひとつの解決策は、太陽光や風力など再生可能エネルギーを活用した地産地消型のエネルギー供給だ。これを、地域やコミュニティで共有する。イメージとしては、EV用の電気供給スタンドのようなかたちとする。そのスタンドに、EVやブラグインハイブリッド車のケーブルを直接つなぐのではなく、スタンドに携帯型・交換型の電池パックを充電しておき、それを取り出して使う。

 こうした電池パック方式について、世界各地でベンチャー企業などが実証試験を進めながら、本格的な事業化を準備している。また、ホンダがeMaaSというエネルギーマネージメント戦略の中で実証試験をしている、MPP(モバイル・パワー・パック)がある。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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