発展途上国は送電の問題や道徳的な難しさがある
こうしたEVの課題について価格と航続距離という商品性については、世界共通である。一方、充電インフラは国や地域によって社会背景が大きく違う。
なかでも、発展途上国では電力の安定供給が難しい場合がある。発電所では一定量の電力を供給できても、問題はその先、送電にある。送電所の設備不良だけではなく、市街地では送電線から自宅に無断で接続する、盗電が日常的に行われている場合もある。
このような状況でも、発展途上国の一部では、モーター出力が低い小型EVタクシーなどを運用するケースもある。だが、日産リーフ級の乗用EVを普及させるためには、人々に対して「生活の中で正しく電気をつかう」という道徳的な観点が必要だ。
ひとつの解決策は、太陽光や風力など再生可能エネルギーを活用した地産地消型のエネルギー供給だ。これを、地域やコミュニティで共有する。イメージとしては、EV用の電気供給スタンドのようなかたちとする。そのスタンドに、EVやブラグインハイブリッド車のケーブルを直接つなぐのではなく、スタンドに携帯型・交換型の電池パックを充電しておき、それを取り出して使う。
こうした電池パック方式について、世界各地でベンチャー企業などが実証試験を進めながら、本格的な事業化を準備している。また、ホンダがeMaaSというエネルギーマネージメント戦略の中で実証試験をしている、MPP(モバイル・パワー・パック)がある。