ダイハツ車であることを知ったお客様から驚かれることも
それでは現場のセールスマンはなぜ複雑な思いになるのかというと、OEMなので仕方ないが、あまりにも“ダイハツ臭”が強いというのである。「OEM車なので仕方ないと言えばそれまでなのですが、たとえばトヨタでは自動ブレーキなどの予防安全パッケージについて“トヨタセーフティセンス”と呼んでいます。そしてダイハツでは“スマートアシスト”と呼んでいますが、ルーミー&タンクやライズなどのカタログでは、トヨタバッジをつけていながらカタログには“スマートアシスト”と表記して紹介しています。
クルマにそれほど興味のないお客からも、『トヨタセーフティセンスではないの?』といった質問は結構受けるとのことです。そうなると、『このクルマはダイハツからのOEMなのです』とわざわざ説明しなくてはならなくなるそうです」(前出事情通)。
OEMということを説明したがために、「えっダイハツのクルマなの?」とお客が反応することもあるそうだ。販売実績を見れば、OEMであることが大きくマイナスに作用することなく良く売れているので問題があるとはいえないが、トヨタのセールスマンとしては場合によっては声高に“ダイハツ車”であることを商談で説明しなければならないことで、少々複雑な気持ちとなるようだ。
「予防安全パッケージはもともと軽自動車で装着がいち早く広がり、そして性能アップしていきました。そのため、以前はトヨタで扱うクルマ(レクサスやかなり高額なモデルを除いた一般的なモデルレベル)のなかで、ミライースのOEMであるピクシス エポックが性能が高いということで、トヨタのコンパクトカーからエポックへ代替えするユーザーも目立った時期があったそうです」(前出事情通)。
ただ多くの消費者には、ルーミー&タンクやライズが純トヨタ車なのか、ダイハツからのOEMなのかに関係なく、そのようなこと以上に魅力的なモデルに見えるようで、“数字はうそをつかない”とばかりに今日の大ヒットとなっている。セールスマンとしてもよく売れて、自分の販売実績に貢献すればそれでいいと考えているのだが、やはりトヨタディーラーで新車を売っているからには、純トヨタ車で“よく売れている”と評判になったほうが、喜びもさらに増すようなのである。