丁寧に走らせていても表面は傷んでしまう
前回のタイヤの空気圧の話に引き続き、横浜ゴム株式会社の齋藤宏匡さんに「タイヤを長持ちさせるメンテ方法」について伺いました!
伊藤:タイヤをなるべく長持ちさせるには、具体的に何に気をつければいいのでしょうか?
齋藤:まずは日常的な点検をすることが大切ですね。前回も言ったように空気圧のチェックは重要です。空気圧が減っていると本来の性能が発揮できないだけではなく、タイヤが過度にたわんだまま走り続けるとゴムと接着されているスチールベ
伊藤:なるほど! ほかの溝がスリップサインまでいっていないなら大丈夫じゃないかと、つい思ってしまうときがありますもんね……。そういった日常的な点検以外にやっておくといいことはありますか?
齋藤:そうですね、偏摩耗を防ぐためにも、たまにタイヤを前後左右でローテーションをすることもおすすめします。4輪均等に減るようにしておけば、長く使うことができますから。タイヤには『ヒールアンドトゥ摩耗』というものがあって、
伊藤:確かに背中にあるタイヤって忘れがちですが、太陽光にさらされていて劣化しやすいし、ずっとそのままにしておくのはもったいないですね。そのほか、たとえば、洗車するときなどにいいお手入れの方法はあるのでしょうか? タイヤワックスなどを使う人もいますが……。
齋藤:クルマを洗車してきれいにする際は、タイヤも普通に洗っていただいて構いません。ただ、頻繁に洗車する場合には少し注意が必要です。タイヤには元からワックスと老化防止剤が入っていて、タイヤ自身が保護機能を持っているんです。クリスピー・クリーム・ドーナツの一番シンプルなドーナツってどんな商品かご存知ですか?
伊藤:えーと……砂糖でコーティングされている、あれですか?
齋藤:まさにそれです! タイヤもあんな風にコーティングされているんですね。コーティングされているワックスの層があって、そのなかに老化防止剤も入っているので、紫外線などからタイヤを守ってくれるようになっています。イメージとしては、保湿するための成分がワックスで、日焼け止めクリームが老化防止剤と言えばわかりやすいでしょうか。これらはクルマを走らせてタイヤを動かすことで、内部からじわじわと自然に出てくるようになっています。あまり頻繁にゴシゴシ洗ってしまうと、その成分が取れてしまうので、洗車回数が多い方はそれを覚えておいていただけるといいと思います。
また、洗車した後しばらく乗る予定がないのであれば、自分でタイヤワックスを塗って、保護機能を補ってあげるのは○です。そういった事情がなければ、水洗いだけでも十分ですよ。
伊藤:古いタイヤってたまに茶色いものがありますが、あれは劣化なんでしょうか。もう元には戻らないんですか?
齋藤:いえ、また黒いタイヤに戻りますよ! 茶色になってしまっているのは、保護剤(老化防止剤)