長期保管する際も劣化を抑えるためのコツがある!
伊藤:それを聞いて安心しました! また、いつも悩んでしまうのは、交換したタイヤの保管です。いい方法があればぜひ教えてください。
齋藤:タイヤは紫外線などによって徐々に劣化するので、屋外に置くならカバーをかけることを推奨します。とくにスタッドレスタイヤは、性能をきちんと発揮するためにはゴムの柔らかさが重要なので、きちんとカバーをかけておいた方がいいですね。
また、保管時に縦に積む際は、たまに一番下と一番上を入れ替えたり、横に並べる際はたまに回してフラットスポットができないようにしてください。ホイールを組んだまま保管するなら、空気圧は通常より少し下げた方がいいですね。タイヤをずっと緊張させた状態で置いておくのは、あまりよくないのです。
伊藤:ギターなどの保管に似ていますね、弦を張ったままにしておくのではなく少しゆるめておく、みたいな。また、タイヤを長持ちさせるためにこういう走らせ方はダメ! という注意点はありますか?
齋藤:キャッツアイなどの大きな段差があるところは避けた方がいいですね。こういう段差があるところを無理に通ってしまうと、タイヤの一部がプチッと潰れてなかのカーカスが切れてしまうことがあります。あとは、道路の縁石なども危ないです。コンビニへの出入りで縁石に引っ掛けるとタイヤがたわんで、知らずのうちにカーカスコードを切っていることがあります。タイヤのサイドのゴムは5〜7mmくらいしかないので、何かがブスッと刺されば簡単に空気が抜けてしまいますから。
伊藤:なるほど、当たり前かもしれませんが、道路の真ん中をしっかり安全に走るのが一番ということですね。でもサーキットを走る人たちは、どうしてもタイヤの寿命が短くなってしまいますよね。
齋藤:もちろんサーキットを走れば大きく摩耗しますね。でも、私も走るのは大好きですが、「使い方によってタイヤは痛むし、減る」ということを知っておいていただければ、好きなように走ってもらうのが一番いいと思います。「ADVAN NEOVAでサーキットを走って3年は持たせたい!」って、それは無理な話ですから(笑)。
もちろんサーキットだけはなく、自分自身のクルマの使い方を一度整理して考えていただければと思います。「どんな使い方をしたいか」を伝えていただければ、「長距離移動が多いなら乗り心地の良いタイヤがいいかな、静粛性も重要だな」など、最適なタイヤのアドバイスができますので。
皆さんに少しでもタイヤに関心をもってもらうことで、タイヤもきちんと性能が発揮できますし、長持ちさせることにもつながると思います。その上で「ここが気になる」とか「もっとこうしてほしい」という意見をいただけたら、われわれもいいタイヤ作りにつなげられますから。そういった密なコミュニケーションを取ることで、タイヤから良い循環が生まれたら、一番嬉しいですね。
伊藤:そうなれば、メーカーさんにとってもユーザーさんにとっても、いいタイヤの環境が続いていきそうですね。齋藤さん、今日もタイヤについて興味深いお話をありがとうございました!
齋藤:ありがとうございました!