日本のためじゃなかった! 昔は当たり前の左ハンドルの輸入車が激減したワケ (2/2ページ)

新興国市場の成長が右ハンドル仕様の充実につながっている

 とはいえ、いくら日本のユーザーが右ハンドル仕様を求めたとしてもマーケット規模を考えると、海外メーカーが「日本のために右ハンドル仕様を増やしていこう」というマインドにはならないはずだ。そのほか左側通行・右ハンドルで知られている国といえば、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドが思い浮かぶが、あえて右ハンドルを強化しようと思えるほど伸びしろのある市場とは思えない。

 しかし、右ハンドルがスタンダードで自動車販売の伸びが期待できる国がある。それがインドである。現時点では月販30万台程度であり、販売も鈍化しているが、13億人を超える市場が待っている。将来性を考えれば、右ハンドル仕様を用意しないという手はない。

 そのほか、シンガポール、インドネシア、タイ、マレーシアといった東南アジア諸国も左側通行・右ハンドル圏だ。その名前を聞けば、上昇基調にある市場だと感じることだろう。

 つまり、こうした新興国市場の成長が期待されるという背景が右ハンドル仕様の充実につながっている。日本のためではないというのは寂しいと感じるかもしれないが、高齢化が進みシュリンク傾向にある日本市場としては、どんな理由であっても左側通行で乗りやすい右ハンドルの輸入車が増えてくることは歓迎したい。

 ところで、国際的なISO規格ではハンドル位置にかかわらず、ウインカーレバーは左と決まっているが、長年の習慣から輸入車の右ハンドル仕様に乗るとウインカーと間違えてワイパーを動かしてしまうというミスがよく起きる。ただし、アジア圏での右ハンドル車ではウインカーレバーは右側がデファクトスタンダートになっている。こちらもデファクトの則った仕様が増えてくれると、ありがたいと思うのだが、いかがだろうか。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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