【名車名は効果あり?】スープラ・インサイト・エクリプスは復活車名の採用で成功か失敗か? (2/2ページ)

姿形はまったく異なるも伝統車名がプラスに働いている

2)ホンダ・インサイト(2018年12月復活)

 いまや当たり前のテクノロジーとなったハイブリッドシステム。エンジンとモーターを組み合わせて燃費性能を稼ぐだけでなく、パフォーマンスアップにも活用されている。そのルーツといえるのはトヨタ・プリウスだが、初代プリウスの唯一のライバルとなっていたのがホンダ・インサイト

 初代モデルはアルミボディの2シーターという燃費スペシャルマシンで、北米では数年にわたって燃費性能ナンバーワンの座についたこともある由緒正しいモデル。5ドアハッチバックとなった2代目もハイブリッド専用車で、こちらはハイブリッドカーの価格破壊をしたモデルだ。ハイブリッドカーとして初めて月間販売のナンバーワンとなったこともある。

 そんなホンダの環境テクノロジーリーダーとして象徴的な車名が復活したのは、2018年12月。初代~2代目とワンモーター型ハイブリッドのコンパクトカーだったが、3代目では2モーター型ハイブリッドのCセグメントセダンへと進化。1.5リッターエンジンとの組み合わせによりWLTCモードで28.4km/Lという、フィットハイブリッド並みの燃費性能を実現している。このところ販売目標を大きく下まわる状態で、これ単体のビジネスとして見ると成功とはいえないが、ハイブリッド技術の先行開発マシンという意味ではラインアップに入る意味のある存在となっている。

3)三菱エクリプスクロス(2018年3月復活)

 三菱エクリプスといえば、北米をメインターゲットにした三菱伝統の2ドアクーペに付けられていた名前。初代モデルは2.0リッターターボの4WDマシン、その後V6エンジンの大柄なクーペへ成長し、オープンモデルの「スパイダー」も用意された。

 日本で左ハンドルのまま販売されたこともある。そんなスポーティなイメージの名前に「クロス」というサブネームをつけ、SUVの車名として復活させたのは2018年のことだ。SUVながら、リヤにエクストラウインドウを持たせるなどスタイル重視のクロスオーバーモデルとして個性を発揮している。

 その意味ではニッチ向けという現在、三菱自動車のラインアップにおいては軽自動車を除くと「デリカD:5」に続くヒット作となっている。古くからのファンとしてはエクリプスという名前を素直に受け止められないかもしれないが、完全に新しい名前で勝負するよりも、バリューのある名前を復活させたからこそのスマッシュヒットといえるのではないだろうか。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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