いま世間で問題視される「乱横断」! 危険極まりない実態とは (2/2ページ)

事故時の歩行者の過失割合は以前よりも高くなる傾向にある

 つまり乱横断ではなく、左右無視が根底にある問題で、そうなると歩行者だけの問題ではなくなる。自転車の突然の車道へのはみ出し、路地からの飛び出し。クルマでも突然、横から出てくるし、路肩に駐車して突然ドアを開けて平気な顔をしているなど、すべての根っこにあるのは左右確認、後方確認の不足だ。よくロシアンルーレット的にまわりを見ないで飛び出せるもんだと、変なところに関心してしまうほど。

 誤解を覚悟で現実に即して言うと、横断禁止場所や横断歩道での信号無視はやってはいけないが、信号までの迂回が何百メートルもあって、目の前をそのまま渡るのがラクということはあるだろう。そのときでも、渡るな、すべて横断歩道や歩道橋を使えとは言わない。少なくとも、右見て、左見て、安全を確認してから渡ってほしい。ドライバー側も、遠くからでも見ているんだなと思えば、なにかあっても対応しやすい。どう見ても、歩行者も自転車も左右確認せず、ときにはスマホ片手に、耳にはイヤホン入れて、突然ビュッと渡るのはなし。クルマも同様だ。

 もし事故になったら、実際の非は歩行者にあっても、歩行者は交通弱者ということもあって、過失はクルマのほうが多くなるだけに、ドライバーとしても納得がいかないこともある。ただ、最近ではあまりに頻発していることから、歩行者の過失を大きく取ることも出てきた。

 実際に筆者のまわりであった、幹線道路の交差点で信号無視をして対向車の影から突然飛び込むように出て来た歩行者に当たった事故は、7対3で歩行者の過失割合が多かった。この割合というのは以前であれば考えられないもの。クルマは動いている以上、過失ゼロにはならないが、それを考慮に入れるとこの割合は実質、信号無視の歩行者にすべての過失があると言っていいだろう。

 とにかく、人もクルマも一旦止まって、左右確認。横断歩道を渡るとき、青でもまず左右を確認。これは幼稚園や小学校で習うこと。左右を見て、アイコンタクトができれば、お互いに認知が確認でき、意思も通じる。これだけでも、事故減少対策になるので、警察を含めた行政側も啓蒙に力を入れてほしいものだ。


近藤暁史 KONDO AKIHUMI

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