いまインドでの新車を買う人は「増車」の場合が多い
今回のAUTO EXPOでは、2020年モデルとして新排ガス規制“BS6”対応エンジンの搭載と6速ATが追加され展示されていた。また、ハリアーベースの3列シートを採用した多人数モデル“グラビタス”がデビューしている。このグラビタスの最大のライバルはトヨタ・フォーチュナー。“小さいクルマ”が良く売れるインドだが、トヨタでの売れ筋モデルは大型SUVやMPVとなっている。3列シートを採用する大型SUVのフォーチュナーや、大型MPVとなるイノーバ シリーズは、それぞれのクラスのベンチマーク車といっていい存在にもなっている。
インドでのトヨタ最小セダンとなるエティオスは全長が4メートル以内となっていない(他メーカーでは全長4メートル以内の“4メーターセダン”をラインアップしている)。エティオスはあえて全長を4メートル超えとして、ほかの4メーターセダン車より、“ちょっと上の層”を狙っているのである。コンパクトカーをせっせと売るトヨタ以外のメーカーから見れば、利幅の多い大型車を売りまくるトヨタのビジネスモデルはまさに“おいしく”見えるのである。そのため、トヨタ以外のメーカーのプレスリリースを見ていると、“ライバルはフォーチュナー”といった表記をよく見かけた。
TATAとしても本命は今回発表したグラビタスがイチ押しなのは間違いない。会場で、「インドで新車販売市場が伸びているが(いまは深刻な販売不振となっているが)、新規にクルマを持ったというケースが意外に少なく、目立ったのは富裕層の“増車”だった」という興味深い話を聞くことができた。メインの4メーターセダンもニーズが多いといっても、タクシーやウーバーなどのライドシェア専用車ばかり。もちろん新規需要もはずせないところだが、インドの富裕層も外せないのは確かな話。
今回のAUTO EXPOを見ると、TATAやマヒンドラといったインド勢がフォーチュナーやイノーバを意識したモデルを出品させていたのも特徴のひとつといえよう。