N-VANよりもショートストロークの6MTを搭載!
2020年2月14日(金)より16日(日)までインテックス大阪で開催された「第24回大阪オートメッセ2020」で、3号館にブースを構えたホンダ/無限。そこに展示されていた「N-ONEカフェレーサーコンセプト」は、ワンメイクレース「N-ONEオーナーズカップ」向けに新規設定される6速MT車……などではなく、見た目は現行車ソックリ・中身は別物の“次期型”だった!
ホンダはオートメッセやオートサロンの場で「N-ONEオーナーズカップ」の車両を展示するのが、ここ数年通例となっている。また今回の「N-ONEカフェレーサーコンセプト」に関しては、ホンダからのプレスリリースは車名のみで広報写真すらないという有様なので、うっかり素通りするか、前述のように「N-ONEオーナーズカップ」向け車両と誤報してしまうケースが発生してもおかしくはない。
正直に白状すれば、筆者も1月のオートサロンの現場では、危うく素通りしてしまいそうになったが、その室内を見てすぐに、そんなレベルのクルマではないことを確信した。そう、CARトップ2020年3月号などでも報じられている通り、この「N-ONEカフェレーサーコンセプト」は、今秋発売予定の“次期型”である。
真っ先に目を引くのはやはり、インパネにシフトノブが配置された6速MTだが、これはN-ONEを含む第一世代の「N」シリーズでは実現できなかったこと。軽自動車用6速MT自体はS660の際に新規開発されているが、FF車に搭載するのは、第二世代「N」シリーズのプラットフォームを用いるN-VANで、初めて実現されている。
つまりこの「N-ONEカフェレーサーコンセプト」は、第二世代「N」シリーズのプラットフォームを用いる“次期型”の、プロトタイプということになる。
なお、商用車のN-VANではシフトストロークが長く取られており、その感触も若干軽く柔らかいものだったが、この「N-ONEカフェレーサーコンセプト」の6速MTはS660に近い、ショートストロークかつソリッドなもの。ホンダ一流の小気味良いシフトチェンジが楽しめそうだ。
また、このインパネシフト設置に伴い、インパネの造形は全面的に変更され、パーキングブレーキもフットペダル式からスイッチで操作するEPB(電動パーキングブレーキ)にされている。
だが、ワンメイクレースをはじめとしたモータースポーツで、走行中にパーキングブレーキを使えないのは大きなハンディキャップとなる。走行中にも使用可能かつその効きを調節できるアナログ式、せめてノッチのあるスイッチを設けてほしいと願っているのは、筆者だけではないはずだ。
またフロントシートも、従来のベンチ式からセパレート式に変更されてホールド性がアップ。その間には小物入れやカップホルダー、USB充電ポートが新設され、日常域での使い勝手が大幅に高められているのも朗報と言えよう。
それに対してエクステリアは、直接比較しなければ見分けが付かないほど、現行モデルとよく似ている。だが実際には前後バンパー・グリルとランプ類が全面的に変更されており、その他のパネル類も外見は酷似しているが、オートメッセ会場の説明員によれば「中身は別物」とのこと。
2012年11月のデビューからすでに7年が経過しており、その間に衝突安全基準も強化されているため、これら法規への対応も盛り込まれているものと思われる。なおアルミホイールは、残念ながら「展示用のドレスアップ」なのだという。
そのほかプラットフォームの一新に伴い、エンジンは現行モデルのS07A型から最新のS07B型に、ADAS(先進運転支援システム)も「シティーブレーキアクティブシステム」から現行N-WGNと同様の「ホンダセンシング」にアップデートされることが明らかになった。
この「N-ONEカフェレーサーコンセプト」は、ドレスアップパーツを除いてほぼそのまま、実車に装着されていたエンブレムの通り、次期型N-ONEのスポーティグレード「RS」として、今年8月後半に発売される見込み。
フィットRSなき今、この次期型N-ONE RSが実質的な後継車となるだけに、その走りに大いに期待したい!