黒煙を出すディーゼル車自体は減った
ディーゼルエンジン車から、黒煙をともなう排ガスが出されることは少なくなった。それでも、ときにそんな黒煙を排出している古いディーゼル車を見かけることがある。
黒煙は、燃料の軽油が燃え切らないことによって排出される。1999年に東京都が実施したディーゼル車NO作戦以降、黒煙をなくすためディーゼル・パティキュラー・フィルター(DPF)と呼ばれる後処理装置を装備することになり、それが全国の排ガス規制にも適用され、今日ではほとんど黒煙を目にすることはなくなった経緯がある。
黒煙を含むそうした有害物質は、総称として粒子状物質(パティキュレート・マター=PM)と言われる。これは、呼吸器や循環器に障害をもたらすおそれがあり、また発がん性もあるとされる。
黒煙を処理するためDPFは装備されたが、PMより細かい粒子も存在し、それを浮遊粒子状物質(SPM)という。さらに細かい粒子を、PM2.5という。いずれも、その出所は同じだ。したがって、人体への影響も同様である。しかも粒子が細かくなればなるほど、肺など呼吸器に吸い込まれたあと奥まで浸透し、排出されにくくなる難点がある。
排出ガス規制が強化され、黒煙が見えなくなったり、ディーゼル排ガスのにおいがほとんどしなくなったりしても、排ガスがゼロになったわけではない。目に見えないほど、あるいは臭いにくいほど、細かな物質がなお排出されている。