「終のカーライフ」に何を求めるかがポイントだ
3)三菱デリカD:5
歳をとるとセダンやクーペに回帰する人は多いが、老後もアクティブな趣味を続けたい人や、多人数を乗せる必要がある状況が続く人も少なくないだろう。そこで「終のミニバン」として強く推せるのがデリカだ。
ミニバンながらクロカン四駆並みの悪路走破性能を備え、ディーゼルも選べるなど唯一無二の個性が満載。将来的に生産が終了した後もなお、流行り廃りに左右されない独自性が発揮できる。操縦性も味わい深く、基本設計の古さを補ってあまりある魅力がある。3列目シートまでしっかりした作りであるなど、同クラスの新鋭ミニバンにはない美点も少なくない。
4)アルピーヌA110/アルファロメオ4C
昔から、「一生に一度はポルシェを所有したい」と願うスポーツカー好きは多い。経済的に可能なら最新にして最良の911を買ってクルマ道楽のアガリとすれば最高だが、今の911は最廉価でも1360万円。ケイマン/ボクスターでも性能的には不満はないものの、現行型は4気筒なのが情緒的に寂しいところ。
そこでブランド力、走行性能、刺激性、クルマ好き満足度などの面でアガリのスポーツカーに相応しいのがアルピーヌ110とアルファ4Cだ。圧倒的なオーラを発散させつつも嫌味はなく、ただひたすらファン・トゥ・ドライブを追求する格好良いジジイが演出できる。日常の足グルマは別に用意したい。
5)メルセデスベンツE300
やはり最後はセダンに戻りたい、と考える人は悩ましい。成熟したオトナ向けのセダンは選択肢が多く、いわゆるドイツ御三家やボルボを筆頭に、キャデラックやレクサスも終のクルマとして選ぶ価値のあるクルマが並ぶ。運転好きならBMWを選んで間違いはないとも思えるが、中高年になると深く染みるようになるのがメルセデスだ。
とくに「素のEクラス」にあたるE300は、刺激は乏しくとも、内外装の雰囲気やステアリングフィール、トルク特性などにオヤジ心をくすぐる味わいがあり、何ともしっくりくる感じが心身に馴染む。高級にして完璧な道具を使い尽くす喜びに浸る「終のカーライフ」を想像するのは意外と楽しい。