【試乗】メルセデス・ベンツCLA200dはまるでEVのようなレスポンスかつスムースな発進加速! (2/2ページ)

走りには往年のメルセデス・ベンツ車のテイストが蘇っている

 エンジンを始動すると、ディーセルエンジンとは思えないほど静かで振動も少ないアイドリングで目覚める。通常、直4のディーゼルエンジン搭載車では室内を静かに仕上げていても車外騒音は大きめなものだが、この220dはアイドリング状態で車外に出てフロントラジエター前に立ってもガソリンの直噴エンジンより静かに感じるほどだ。

 エンジンのパワースペックは最高出力が150馬力/3400〜4400rpmで最大トルクは320N・m/1400〜3200rpmとなっている。8G-DTCをDレンジに入れて走り出すと、EV車のような低速トルクのピックアップのよさと力強さでスムースに走りだす。

 車速を上げていく過程でシフトは次々と変速されているが変速ショックは皆無に等しく、何速に入っているかわからないほどスムースなことに驚かされる。アクセルの踏み込みにキックダウンスイッチ制御がきめ細かく反応して、常に適切なギヤが選択され、登り坂でも下り坂でもドライバビリティに優れ扱い易い。8速という多段トランスミッションではあるが、変速制御がビジーに感じないでスムースそのものなため、動力性能と実用性を両立し、加えて燃費も向上させられるというメリットだけなのだから申し分ない。

 ハンドリングや乗り心地も素晴らしい。先代モデルよりフロントで63mm、リヤは55mmもトレッドが拡大されていてスタビライザーも強化されたことで、コーナリング時の車体ロールを押さえ込みながらも路面からの突き上げはショックアブソーバーやサスペンションブッシュで見事にいなす。この乗り味は往年のメルセデス・ベンツ車の特徴となっていたテイストであり、この1〜2年の間に導入された多くのモデルに蘇っていて歓迎できるものだ。

 エンジンはアルミニウム製の軽量なシリンダーブロックが採用されていて前後重量配分も高めている。ピストンはスチール製でシリンダーウォールにスチールカーボン材を溶射コーティングし摩擦を低減しているといい、EV化が進むなかにあっても欧州では衰退傾向にあるディーゼルエンジンにも最新の高度な技術を盛り込んでいるのだから恐れ入る。

 sDPF(選択触媒還元法コーティング付粒子状物質除去フィルター)やマルチウェイ排出ガス再循環(EGR)など上級カテゴリーのモデルと同じレベルの排ガス浄化システムを採用し、環境性能にも最高レベルの性能を与えている。

 ほかにもインテリジェントドライブアシスト装備やテレマティックサービスなど最新かつ最上級の仕様が与えられていて、車両本体価格472万円〜というのは極めてお買い得だ。

 デザイン、走り、燃費、価格と総合性能の高さが魅力と言える。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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