個性豊かなライフスタイル系の車種に注目が集まってきている
まず、ドイツ御三家の伸び悩みについてだ。
伸び悩みは、ラインアップ中位から下(300~600万円)のモデルで顕著だ。日本車と競合する価格帯であり、近年は日系各社がSUVやクロスオーバーなど多彩な新車を市場導入していることもあって、競争が激しくなってきた。一部の輸入車はリセールバリュー(下取り価格)が日本車よりも低いことも、販売減につながっている。
その昔は、「いつかはクラウン」の次は「いつかはドイツ車」といった、庶民にとっての乗用車のステップアップの概念があったが、価格と品質では日本車もドイツ車に引けを取らないモデルが出てきており、ドイツ御三家としても、うかうかしていられない状況だ。
そうした潜在的な社会基盤の中で、2010年代から庶民のなかで流行しているのが、本格的なアウトドアグッズを日常的に使うような、いわゆる「ライフスタイル系」の生活様式だ。一般的に「ライフスタイル系」と呼ばれるのは、アウトドアだけではなく、生き方に個性を持つことを指す。クルマにおけるライフスタイル系は「いっぴんモノ」とまではいかなくても、販売数量が少なくても個性豊かなモデル、ということになる。
そうした文脈で見ると、最もわかりやすいのがジープ「ラングラー」やルノー「カングー」といったモデルになる。
こうしたライフスタイル系のクルマが多いマイナー系ブランドの活況は、一時のブームなのか? それとも、いまが大きな時代変化の入口なのか? 今後の輸入車市場の動向をしっかりウォッチしていきたい。