サッシュレスドアは開口部を広く取れない
スバル・インプレッサの初代と2代目は、サッシュレスドアだが、3代目はマド枠のある一般的なフルドア形状に変わった。この時に開発者に変更した理由を尋ねると、「主にドアの開口部を拡大するため」とのことであった。サッシュレスドアではボディ側のドアシールをウインドウガラスに直接密着させる必要があるから、開口部を広く取れない。フルドア形状にしてピラーの角度も変えることで、3代目インプレッサは2代目に比べてドアの開口部を拡大した。
また近年のドア形状について開発者に尋ねると、「フルドアのほうがボディの強度を保ちやすく、風切り音を抑えたり、遮音性能を高める上でも有利」だという。逆にサッシュレスにするメリットは主にデザインだから、機能を優先させれば、自ずからフルドアになるわけだ。
日本車がサッシュレスドアを廃止する一方で、メルセデスベンツCLS、BMW4シリーズグランクーペ、アウディA5スポーツバックなどの欧州車は、サッシュレスドアを使ってドアの周辺をシンプルに見せるようになった。欧州メーカーには以前からカブリオレが用意され、サッシュレスドアも継続的に用意している。この実績を生かし、技術進歩と併せて、セダンや5ドアハッチバックにもサッシュレスドアを使うようになった。
過去を振り返ると、サッシュレスドアのセダン(4ドアハードトップ)は、1960年代のアメリカ車から普及を開始した。日本では1970年代から1990年代に掛けて、乗用車の中心的なボディスタイルになっている。トヨタ・カローラセレス&スプリンターマリノのように、コンパクトな車種にまで4ドアハードトップが採用されていた。
この後、日本では廃れたが、欧州では同様のボディスタイルが今になって流行している。ターボなどのメカニズムにも当てはまる話だが、日本車が早期に確立させながら採用車種を減らし、時間を経て海外のクルマで普及したトレンドは意外に多い。