新型スズキ・ハスラーはNAでも十分な動力性能
最初に試乗したのは、都会の一般ユーザーが選ぶであろう、新NAエンジンを積む2WDモデル。マイルドハイブリッドの新エンジンはCVTとの相性も抜群で、トルキーに、スムースに発進する。ただ、アクセルの踏みはじめにゴロゴロ感があるのは要改良点だが、市街地の走行がメインなら動力性能は必要十分と言っていい。アクセルを深く踏み込むのではなく、ゆっくり踏んでやると、エンジンノイズを高めることなく、必要な加速力が得られるエンジンだ。
そして思わず頬をゆるませてくれるのが、絶品の乗り心地。良路ではもちろん、荒れた路面、段差でもフラットな姿勢を貫き、不快なショックや突き上げ感がない。それを前席だけでなく、後席でも実感できる乗り心地は、まるでもっとずっと大きな上級車さながら。いや、多くのコンパクトカーさえ凌駕する質の高い乗り心地を味わわせてくれるのだからビックリだ。
操縦性は重心に配慮した穏やかなものだが、カーブでの安定感、姿勢変化の少なさは圧巻。カーブを勢いよく曲がった際に、先代が倒れこむような挙動を示すシーンでも、新型は限りなく水平感覚を保ったままクリアしてしまうのだから、安心・安全である。
高速直進安定性も見事。ビシリと直進するから、高速道路でのロングドライブもストレスは最小限のはずである。
新型ハスラーの、これまたマイルドハイブリッド仕様となるターボモデルは4WDで試乗したが、もう、しびれるほど良かった。NAモデルと165/60R15サイズの専用スペシャルタイヤやサスペンションは同一だが、NAの2WDモデルとの車重差もあり、一段としっとり上質な乗り心地を披露。動力性能は、ターボでありながら、より排気量の大きいNAエンジンを思わせるゆとり、豊かなトルクによる余裕を感じさせてくれるもの。これならフル乗車、荷物満載のロングドライブもストレスフリーでこなせるに違いなく、ミニマムサイズの一家に一台のファーストカーとして見事に応えてくれるに違いない。
ターボモデルには、例によってスピードコントロールのしやすさでも活躍するパドルシフトが付くほか、スズキ軽初のACC(アダプティブクルーズコントロール/渋滞追従機能付き)も備わるから完璧だ。
そのACCを含むスズキ・セーフティサポートと呼ばれる先進安全運転支援機能もさらに充実し、デュアルカメラによる自動ブレーキはもちろん、前後誤発進抑制機能のほか、後退時のブレーキ制御まであるのだから文句なし。さらに標識認識機能では、スズキ軽として三角形の標識=一時停止の標識も認識できるようになり、走行中、一時停止の標識に遭遇すると、チャイムとナビ画面上での標識表示で教えてくれるのだから、うっかり一時停止を見落とすこともなくなるというわけだ。
とにもかくにも、デザイン、機能、使い勝手、先進安全運転支援機能の進化の大きさもさることながら、前後席の乗り心地の素晴らしさは、繰り返すけれど、感動に値するレベルにある。これはもう、先代以上に大ヒットすること間違いなしである。お薦めは2トーンカラー。「遊べる軽」感が一気に増幅するからだ。