【クルマが壊れそうだけど大丈夫?】マニュアル変速時に起こる「ガリガリ」音! その時何が起こっているのか (2/2ページ)

繰り返しているとオーバーホールするしかなくなることも

 普通のMTは常時噛み合い式なので、ギヤ自体はすべてフルタイムで噛み合っている。噛み合ってはいるが、ニュートラルのときは駆動輪に繋がっているカウンターシャフト側のギヤは空転していて、シフトレバーを動かし、スリーブが空転しているギヤと連結したとき、駆動力がタイヤに伝わる仕組みになっている。

 このとき、スリーブはそれまでのギヤが回っていた回転数で回転していて、変速比に差がある次のギヤ=空転していたギヤとは、回転差が生じる。その回転差を無視してシフトレバーを動かし、スリーブをスライドさせようとするとギヤが鳴る。これがギヤ鳴りの正体。

 シンクロ付きのミッションは、それを防ぐためにスリーブ内部に円錐のクラッチ、シンクロコーン(シンクロナイザリング)を設け、スリーブが入る前にそのシンクロコーンが、まず次のギヤに接触し、スリーブとギヤの回転数を同期させてから、スリーブが連結するようになっている。

 このシンクロ機構が十分機能し同期が完了していれば、ギヤはスコッと気持ちよく入り、同期が不完全だと金属接触で「ガリッ」とギヤ鳴りが出てしまう。

 このギヤ鳴りの原因は、多くの場合、クラッチの切れが不完全の場合。クラッチの踏み込みが浅かったか、クラッチミートが早過ぎたと思えばいい。

 また普段からシフトチェンジが荒い人や、ギヤ鳴りを何度も繰り返すと、シンクロコーンやシンクロと噛み合うギヤコーンの突起部が摩耗して、同期させる能力が低下し、ますますギヤ鳴りしやすくなる……。

 シンクロが摩耗した場合は、ミッションをオーバーホールするしかなくなるので、それなりの出費を覚悟しなければならない。

 そうしたギヤ鳴りを防ぐには、

1.確実なクラッチワーク

2.正確で丁寧なシフト操作(力まずゲートに逆らわず、シフトミスは厳禁)

3.ミッションオイルの定期的な交換

 が重要。

 クラッチやシンクロを長く持たせるのも、MT車オーナーの腕の見せ所なので、シンクロを傷めないシフトチェンジをマスターするよう研究してみよう。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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