専用設計がゆえの室内パッケージングが実現できる
が、ハイブリッド専用車の存在意義は、間違いなくある。思い出してほしい。初代プリウスが世界的に大ヒットした理由を。それは、専用車ゆえ、誰から見ても、ハイブリッドカーに乗っていることをアピールできることに尽きる。もし、プリウスにガソリン車とハイブリッドがあったとしたら、一目でハイブリッドカーには見えない。
当時、環境にこだわる自動車ユーザーや、先進性のあるクルマを望んだ人たちにとって、プリウスはまさに神器だったというわけだ。ハリウッドスターのレオナルド・ディカプリオが7台のプリウスを所有し、毎日違うプリウスに乗っている……なんていうニュースも、デカプリオの環境への関心をアピールするPRだったようにも思えるのだ。
そして、プリウスやアクアなど、ハイブリッド専用車は、クルマの企画、パッケージなどのすべてをハイブリッド専用とすることで、最初からエンジンを積まない専用設計ができるメリットもある。プリウスの室内空間の広さやフラットフロアを、4WDをラインアップしたとしても、後輪をモーター駆動とすることで成立させることができたというわけだ(前後輪のトルク配分は、前100:後0から前40:後60まで可変)。
つまり、プリウスに代表されるハイブリッド専用車は、まさにハイブリッドカーの象徴となるクルマそのものであり、「ハイブリッドカーに乗っています」アピールができる。それがハイブリッドカーファンにウケているとも考えていいだろう。たとえば、アルファードやヴォクシーのハイブリッドに乗っていても、世間的にはミニバンに乗っている、と思われるに過ぎないのである。
ちなみに新型ハスラーはNA、ターボともに全グレード、マイルドハイブリッド仕様だが、AC100V/1500Wコンセントが利用できる、プリウスのような2モーターのストロングハイブリッドとは違い、真正ハイブリッドカーとは呼びにくいのも事実だが……。
よって、プリウスのようなハイブリット専用車は、今後しばらくは、クルマの電動化の主役として君臨し続けるに違いないのである。