レース車両で徹底的に磨いた技術を惜しみなく盛り込んだ
ビー・エム・ダブリューは2020年1月28日、都内で2020年の日本におけるビジネス展開を説明する新春記者会見を開催した。
冒頭、クリスチャン・ヴィードマン社長は、ビー・エム・ダブリューの2019年の販売実績について触れた。グループとしては、BMWモデル4万6814台、MINIモデル2万3813台と、合わせて7万0627台を売り上げ、5年連続でインポーターとして1位の販売実績を誇る。2019年は新型車を多数導入した「ニューモデル攻勢の年だった」と振り返る。BMWブランドでは21、MINIブランドで7の新型モデルを投入している。とくに存在感を表わしたのは6つのモデルを上市したラグジュアリーセグメントだった。
そうした状況を受け、「今年も引き続き、ラグジュアリーセグメントの取り組みを強化していく。Mモデルにおいては2019年で前年比47%増という素晴らしい結果を残した。今年もこの勢いをさらに増していく」とのことだ。
その第一弾として発表されたのが、M8グランクーペ。BMW M社のレーシングテクノロジーを多数採用したMシリーズのフラッグシップモデルという位置づけだ。2年前の2018年からM8をベースとしたレース車両を用いて24時間耐久レースなどに参戦し、そのモータースポーツで培った技術を市販モデルにフィードバックした。そのため、ビー・エム・ダブリューではM8グランクーペを「レーシングテクノロジー直結の究極のスポーツカー」と定義する。
その象徴ともいえるのが、パワートレインと空力性能だ。
エンジンは最高出力600馬力を発揮する4.4リッターV8 Mツインパワーターボを採用する。点火順にそれぞれの排気が干渉することなくターボを等間隔で回すことができるよう、クロスバンク型を導入したことで、排気エネルギーを最大限に活用しながら応答性も高めている。さらに、ドライブロジック付き8速Mステップトロニックトランスミッションと、ハイパワーを的確に路面に伝えるM独自の4輪駆動システム「M xDrive」を組み合わせた。これにより、エンジンのパワーをシッカリと使うことができ、高い走行性能を実現。
また、アクティブディファレンシャルギヤやサスペンションアームの一本に至るまで専用のパーツを使用するなど妥協することなく作りこみを行なった。標準装備のカーボンルーフは車体を軽くするだけではなく、クルマの重心センターを下げることにも貢献している。
ほかにも、ドライバーのコンディションや運転スタイルによって、エンジンやシャシー、ステアリング、ブレーキ特性をドライバーが任意に設定変更できる機能が搭載されている。こうした装備はサーキット走行時だけでなく、日常の交差点や高速道路でもよりスポーティな走りを実現し、まるで体の延長線上のように操ることができるという。
新たに追加されたM専用のインテグレーテッドブレーキシステムは、濡れた路面や横Gがかかった際などでも優れた安定性を保ち、正確に制動力を発揮できるよう改良された。ペダルのモードには快適性を重視した「コンフォート」と、素早い反応を重視した「スポーツ」を用意し、減速に必要なブレーキペダルの踏み込み量を変更することができる。
また、センターコンソールに「Mモードボタン」が追加され、メーターパネルやヘッドアップディスプレイの表示方法、運転支援システムの介入レベルを変更できる。「ロード」では基本設定としてすべての運転支援システムが有効になるほか、「スポーツ」を選択するとドライバーが任意に設定した情報に基づいて、前車接近警告や衝突回避、被害軽減ブレーキを除くすべてのブレーキやステアリングシステムへの介入を無効にすることも可能だ。