【いつまで男性のことだけ考えてクルマを作るつもり?】女子がクルマに望む「本当の改善」5つ (2/2ページ)

ユニバーサルデザインの世にあって表面的な使いやすさではダメ

3)ヘッドレスト

 続いては、安全確保のためになくてはならない装備、ヘッドレスト。これはまさに女性特有の悩みと言ってもいいと思いますが、長い髪をバレッタで束ねたり、アップスタイルにしていたりすると、ヘッドレストに当たってしまってずっと前傾姿勢で座ることに。首が疲れるし、運転操作もぎこちなくなってしまうので、仕方なく運転中はヘアアレンジをいったんほどいて、クルマを降りる時にやり直す、という面倒なことになってしまいます。なんとか、髪を結んでいても安全性が確保できる形状のヘッドレストというものを、誰か発明していただけないものかと願うばかりです。

4)インテリア

 そして次に、インテリアのデザインについてもひと言。インパネの中央からセンターパネルが長くのびて、運転席と助手席を隔てるブリッジのようなデザインが流行ったことがありました。そのブリッジの下が収納スペースになっていて、見た目にはとてもモダンで美しいのです。が、小柄な女性はシートを大きく前にスライドして座りますよね。そうすると、その位置からは収納スペースに手が入らなかったり、ドリンクホルダーが遠すぎたり、まったく使い物にならないのです。

  

 身長の高い人なら使いやすいんだろうな、と思うのですが、これはいただけないですね。どんな体格の人でも使いやすいインテリアを作って欲しいものです。

5)スピードバンプ

 さて最後は、クルマそのものではなく、道路の作り方についても男性ファーストだなと感じるところがあります。その最たるものが、速度抑制効果を狙って道路に設置している、「スピードバンプ」と呼ばれる凹凸。確かに、歩行者の多い道路などでスピードを出して走るクルマは危険です。どうにかして、速度を落とさせる工夫は必要だとは思います。ただ、妊娠中の女性がどれだけ普段、振動などに気をつけて生活しているか、きっと男性には想像もつかないのでしょう。

 まだ首もすわらない赤ちゃんを乗せて走る時も、いくらベビーシートに乗せているからといって、不要な振動は与えたくないのが母心。どんなに速度を落としてゆっくり走っても、ドン、ドン、と不快な振動が身体に伝わってくるスピードバンプは、そうした人たちの気持ちがまったく考えられていないものだなと感じます。

 というわけで、ユニバーサルデザインといった思想がクルマにも取り入れられるようになって、誰にとっても快適なクルマづくりはどんどん実現していますが、もう少し、改善の余地があるかなと思うポイントをご紹介しました。1台のクルマがすべての人の要求を満たすことは難しいし、だからこそいろんなクルマがあって楽しいとも言えます。

 でも、「乗ってみたい、運転してみたい」と思ったクルマが、実際に乗ってみたら自分には合わなかった、というのがいちばん寂しいですよね。そんなことにならないように、もっともっと進化してくれることを願っています。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

新着情報