電動化によって労働環境が大きく改善するメリットも!
車体の構造面では、一見、バッテリーを積む余裕がありそうな大型のトラックやバスでも、多くの荷物や大人数を運ぶためにはそれなりの量のリチウムイオンバッテリーの搭載が必要になり、トラック/バスのシャシーは案外物を置く余裕がないのが実態だ。走らせるための機能部品より、荷物や人をより多く乗せられたほうが運搬の効率が上がるからだ。そのように、トラック/バスのような生産財の電動化はそれほど容易ではない。
一方で、電動化は、労働環境を大きく改善する。長時間乗り続ける運転者にとって、振動・騒音を軽減するモーター走行は、心身ともに快適な環境をもたらす。トルクの大きなモーターは、変速もほぼ不要で運転自体もラクにする。運転支援機能も、エンジンより何倍も早く作動させることができ、安全性を一層向上させることができる。そのように、電動化はトラック/バスの性能や機能を大きく前進させる潜在能力がある。
かつて、日本でも見られたトロリーバスのように、電車の架線を利用した車両であれば、大量のバッテリーを積む必要がなくなるだけでなく、走行距離の不安も少なくなる。ドイツでは、昨年からアウトバーンで架線から電気を得て走行するトレーラーの実証実験がはじまっているという。
しかし、架線の維持管理や、走行が架線の制約を受ける(追い越しをしにくい)などの課題もあり、使える場所と使いにくい場所があるだろう。
トラック/バスの電動化は、都市構造など住環境や、高速道路を含めた道路環境などともより深く関係するため、長期的な目標や、車両だけでない総合的な計画のもとに進められるのが理想といえる。