【試乗】ディーゼル車と気づかないほどの加速フィールや静粛性! メルセデス・ベンツGLE400dに非の打ち所ナシ (2/2ページ)

ロールが抑えられながらもサスペンションに硬さを感じない

 エンジンを始動すると、ディーゼルエンジンとは思えぬほどにスムースで低振動な回転を始める。6気筒を採用し、この滑らかなエンジンフィールをディーゼルにも与えることで、プレミアムセグメントとしての威厳を保たせることができている。

 走り出すと、もはやディーゼルかガソリンかの区別が付かない。アクセルレスポンスがよく低回転域から強大なトルクを発揮するエンジン特性で、2トン以上に及ぶ重量級の車体を軽快に加速させる。エンジン振動も騒音もガソリン車並みの低レベルに押さえ込まれていて、黙って乗せられたらディーゼルかどうか判別がつかないだろう。

 新型の車体は剛性感が高まり、ロードノイズなど遮音性の向上も認められ、質感が圧倒的に高い。モダンなインパネなど装備は最新のメルセデスのトレンドに則ったもので、インフォテイメンツも充実。先進の安全運転支援機能とともに安心感に包み込まれたような走行フィールが魅力だ。

 今回、3列シートを装備して7人の乗車人数を確保している点も見逃せない。これまで3列シートが必要な場合はより全長の大きなGLSしか選択肢がなかったが、GLSはまだアップグレードが最新になっていないのだ。さすがにGLEの3列目シート足元スペースは窮屈だが、安っぽさはなくシートアレンジの多彩性で実用性は格段に高まっている。

 サスペンションの動きもまた素晴らしい。近年のメルセデス車は往年の質感の高いダンピングの効いたサスペンションを取り戻してきているが、このGLEもまたロードホールディングと車両安定性が高く、重心の高さを微塵も感じさせない優れたハンドリングが与えられていた。ロールが抑えられながらもタイヤとのマッチングがよく硬さを感じさせないしなやかなサスペンションで、運動性能と快適性を見事に両立している。

 今回、悪路を試すことはできなかったが、プレミアムSUVとして相応な走破性を備えているであろうことは想像に難くない。Gクラスほど本格的ではないとしても、雪道や悪路などでは頼もしい存在となってくれるはずだ。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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