初披露のeKスペースは女性を意識したカラーも採用
東京モーターショー2019において、ワールドプレミアされたスーパーハイト軽ワゴンコンセプト。デリカD:5、eKクロス譲りの迫力あるフロントマスクで注目を集めたショーモデルが、市販仕様に限りなく近いプロトタイプとして、東京オートサロン2020の会場に展示された。その名称もeKスペース&eKクロススペースとなることが発表されている。
今回は、その個性的なデザインを担当した、三菱自動車工業株式会社 デザイン本部 プロダクトデザイン部 デザインプログラムマネージャーの大石聖二さんにお話を伺った。
──この新型モデルを開発するにあたり、最初からeKクロスと同じフロントマスクにしようと思っていたのでしょうか?
大石:eKクロスをデザインしている時点で、次期スペースとなるモデルも、名称はさておきクロスと同じ方向性にしていこうというのは決まっていました。
──SUVテイストを持たせたスーパーハイトワゴンはあまりないですよね。
大石:三菱らしさを出すためには、SUVの方向性でいくしかないだろうという思いがありました。ですので、フェンダーに黒いモールディングだったり、黒とかシルバーのメッキパーツを多く使っています。
──フロントマスクはeKクロスと似ていますが、部品などは共通なのでしょうか?
大石:まったく異なります。eKクロスは大きな縦型ユニットがヘッドライトですが、eKクロススペースは切れ長の上側がヘッドライトになります。下の縦型ユニットは、こちらではフォグランプやウインカーとなります。開発段階でeKクロスのユニットをそのまま流用できるか、と検証を行いましたが、きちんと専用デザインにしたほうがバランスが良かったですね。
──もう1台、eKスペースは今回の東京オートサロンが初披露でしたが、こちらはどのようなこだわりがあるのでしょうか?
大石:eKスペースは、クロスに対してより親しみやすい形にデザインしています。ターボモデルに関しては、スポーティに見せるためフロントグリルを黒くしていますが、NAはボディ同色でおとなしい雰囲気になっています。そのため、見た目がまるで違う、よりSUV色を強めたeKクロススペースと合わせて、さらなるユーザー層の拡大を狙っています。
今回展示したeKスペースはモノトーンですが、ルーフを塗り分けた2トーン仕様も用意しています。今まで以上に、女性のユーザーにも受け入れられやすいのではないかと思います。
内装もベージュ系を採用しているので、より女性ウケしやすいカラーリングになっているかと思います。対してeKクロススペースはブラウンとオレンジを基調にしています。どちらも軽自動車とは思えないような質感にこだわりました。
──リヤのデザインでこだわったポイントはありますか?
大石:テールランプは、ボディ幅よりも少し外側へ配置しています。これは車両のワイド感を強調させるためです。見た目の広さは先代モデル以上かと思います。
──そのほか、こだわったところはどこでしょうか?
大石:eKスペースカスタムがなくなってしまったので、eKスペースのターボモデルはフロントグリルをブラックとするなどし、スポーティさを高めています。クロスのSUVテイストではないほうが好みという方は、eKスペースのターボモデルを選んでいただければと思います。そういった意味では、3タイプを設定したことでたくさんの方に選んでいけるクルマになったかと思います。
──ひと目で三菱車だとわかるSUVテイストをもったスーパーハイト軽は、アクティブなファミリー層からも受け入れられそうですね。早く実際に乗ってみたいです。今日はありがとうございました。