【販売台数でトヨタRAV4に惨敗のホンダCR-Vは売れてないわけじゃない!】裏に隠れたメーカー戦略とは (2/2ページ)

他モデルも含めた販売戦略による差が大きい!

 興味深いのは、CR-Vの弟分といえるヴェゼルと、RAV4の弟分となるC-HRのそれぞれの日本国内での月販目標台数である。ヴェゼルの月販目標販売台数が5000台なのに対し、C-HRは3600台となっている。そして自販連による2019年度上半期販売台数で比較すると、ヴェゼルが2万8829台なのに対し、C-HRは2万5085台となり、ヴェゼルのほうが売れていた。

 C-HRは10月にマイナーチェンジを控えていたこともあるが、とくにRAV4の国内販売が本格的に立ち上がった5月以降は前年同期比での販売台数の落ち込みが顕著となってきた。また、RAV4は発売前から積極的に予約受注を獲るように現場のセールスマンに指示があったとも聞くので、メーカーであるトヨタのRAV4への国内回帰への気合いも並々ならぬものがあったといえる。

 ヴェゼルとC-HRはサイズ的にも近く、クーペSUVスタイルを採用する。ヴェゼルはやや実用性も意識しているのに対し、C-HRは思い切り“クーペ”を強調したスタイリングを採用したために、後席居住性や積載性能への不満が目立っていた。そのため、すでにRAV4は世界市場では2018年3月にデビューしていたことや、販売現場ではRAV4の早期国内投入を望む声も高かったので、C-HRに躊躇していた新車購入見込み客を中心に発売後は一気に売れ出したといっていいだろう。

 一方のホンダでは手ごろなボディサイズも含め、CR-Vを選ばなくても事足りるということで、ヴェゼルがCR-Vデビュー後も引き続き堅調に売れる結果となっている。CR-Vは、その割安イメージは個々人で異なるが、標準装備を増やした結果、価格だけを見ると割高に見えてしまったのも、ヴェゼルを引き続き堅調なセールスに導いたのかもしれない。

 また、モデル末期のハリアーやエクストレイルにもCR-Vが販売台数でリードされている。この点について、ハリアーはRAV4の相乗効果も手伝っていると考えられ、エクストレイルについては日産のなかで見れば、ヴェゼルのような存在がいなかったので分散化しなかったことが考えられる。

 販売目標台数を見ても、ホンダとしては国内販売におけるSUVのメインはヴェゼルとして、ヴェゼルより上級志向であったり、多人数乗車を望むユーザーにCR-Vを進めるという方向で販売活動を展開しているようで、モデル自体が極端に魅力がなくて“売れていない”というわけでもないのである。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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