アメリカではライバル関係と呼ぶにふさわしい販売実績を誇る
世界市場に目を向けると、いまやSUVが新車販売の主役となっているといってもいいだろう。世界第二位の市場規模を誇るアメリカでは、小型ピックアップトラックも含まれるのだが、新車販売に占めるSUVの販売比率はじつに7割となっている。
世界第一位の中国や第二位のアメリカでは、SUVがよく売れているといわれてもその多くがFFもしくはFRといった2WDとなっている。中国民族系メーカーなどでは2WDしかラインアップしないSUVもかなり多い。腰高で見晴らしも良くて、押しが強いとして若い女性なども好んでSUVに乗っており、ファッション感覚で乗る人がいる一方、大型SUVでは3列シートで多人数乗車も可能。さらに積載スペースも広いため、ミニバン代わり(アメリカでは生活臭が強いとしてミニバンが敬遠されるケースが目立つ)にファミリーカーとして使われているケースが多い。
“ガラパゴス市場”といわれる日本でも近年ではSUVのラインアップ数が増えてきた。しかし、相変わらずメインは4WDとなり、メディアなどでも各モデルの4WDシステムを熱心に解説したりしている。2WDを設定するモデルもあるが、「ないよりはあったほうがいい」という、日本の消費者の独特の感覚もあり4WDが好んで選ばれているようである。
日本自動車販売協会連合(自販連)による、2019年度上半期(2019年4月~9月)の通称名(車名)別販売ランキングをみると、SUVにカテゴライズされるモデルでの販売トップはトヨタRAV4で、3万9299台(月販平均約6550台)。一方で初代以来ライバル車とされているホンダCR-Vは5416台(月販平均約902台)で、RAV4とかなり差をつけられている。
RAV4は月販目標台数が3000台なので、平均月販台数はダブルスコア以上となっており、ヒットモデルといえる販売実績となっている。ただCR-Vの月販目標台数は1200台なので、平均月販台数の目標達成率は約75%となり、902台と聞くと極端な販売不振状況のようにも見えるが、メーカー目標比では健闘しているといっても過言ではないだろう。
アメリカにおける販売台数を見ると(2019年1月から11月)、RAV4が40万6789台(月販平均3万6980台)なのに対し、CR-Vは34万8070台(月販平均約3万1642台)だ。いずれも各ブランドでもっとも売れているドル箱モデルで、RAV4が月販平均比で5000台ほどリードしており、ライバル関係と呼ぶにふさわしい販売実績となっている。アメリカの販売実績を見れば、モデル自体に販売苦戦の要因があるとは考えにくい。