レースでオペルが上位ブランドに勝つと大いに盛り上がる!
オペルはDTM(ドイツツーリングカー選手権)の90年代第一期と、第二期の初頭にワークス参戦していた。筆者はホッケンハイムサーキットでDTMを見学していた時、オペルがメルセデスやBMWとの接戦から抜け出すと、観客席が大いに盛り上がるのだ。
同行していたドイツ人に聞くと、観客たちにとって大衆車オペルは身近な存在であり、ヒエラルキー上位ブランドをやっつける様を見て、観客たちは胸がすっきりするのだ、という。
こうしたドイツでのオペルの状況を別の角度から見ると、日本にオペルが輸入された場合、ブランドの設定が難しくなる。メルセデスでもなく、VWでもない、アメリカ大手が深く関与するドイツ車。欧州車としては価格は抑えめだったとはいえ、そうなると日本車と品質の差が浮き彫りになった。人気が低迷すれば当然、リセールバリュー(下取り価格)が下がり、そのための新車販売が伸びないという悪循環に陥り、結局は日本からの徹底を余儀なくされた。
そんなオペルが2021年、日本に再び導入される。今度は、PSA(プジョー・シトロエン)の仲間としてである。PSAでの日本戦略といえば、近年はシトロエンのブランド再構築を確実に進めている。戦略は奏功し、ベルランゴは予約販売時点で完売するほどの人気だ。オペルについて、PSAはどのように料理するのか? その腕前、じっくり拝見したい。