技術は常に進化するため、完璧なクルマはできない
ただし、こうした機能面における改良に合わせて内外装に大きく手を入れてしまうと、中古車市場でマイナーチェンジ前モデルの価格下落につながってしまう。外観はそのままにメカニズムだけ改良するというパターンも目立っている。
いずれにしても、常に技術が進化しているということは、どの時代においても完璧と認められる自動車を作ることは不可能といえる。
たとえば、30年間不変の価値を持つクルマが可能かどうか考えてみよう。2020年の30年前といえば1990年だ。その当時のクルマには、エアバッグは珍しい装備であった。横滑り防止装置も生まれたかどうかというタイミングだ。自動停止までカバーする衝突被害軽減ブレーキが生まれたのは2000年代後半だから、当時は存在していない。もちろんハイブリッドのような電動化も実用化されていないし、排ガスや燃費といった環境性能においても現代のレベルではなかった。
スタイリングや乗り味において30年前のクルマが最新モデルとそん色ない魅力を持つことは否定しないが、そんなクラシックカーを作り続けることを社会全体としては良しとしないだろうし、それが完璧な自動車とはいえない。そもそもCO2を排出するようなクルマは認められないという時代になるかもしれない。
テクノロジーが進化し、ニーズが変化しつづける限り、ある時点で未来永劫完璧な自動車を作ることは不可能だ。そうしたテクノロジーやニーズにあわせたアップデートとしての商品改良は必要なものであり、そうして最新の知見を導入することが商品力につながる。だから、自動車メーカーはマイナーチェンジを行うのだ。