もっとオフロードを走りたいと思わせる演出をしてほしい!
続いてCX-8でモーグルコースを走る。OTAの効果をもっとも発揮するステージだ。ノーマルモードだと浮いた側タイヤがむなしく回転するだけで進まないが、OTAだと「ゴゴゴ」という音とともに浮いたブレーキが掛かり前に進む。ただ、接地しているタイヤ自体が空転して楽々走破……ではなかった。
その理由はオンロード向けのタイヤ、逆を返せばあのタイヤでこのトラクションなら大したものだ。ただ、悪路走破性を強化……と謳うならタイヤは改善代のひとつかもしれない。
最後はCX-5でヒルクライムコースを走る。じつはCXシリーズのなかで一番のオフロード性能を備え、スタイリッシュなデザインながら最低地上高は210mmを確保。また、サスペンションストロークもクロスオーバーの中でも長め(フロント:バンプ80mm/リバンプ70mm、リヤ:バンプ70mm/リバンプ85mm)に取られていることはあまり知られていない。
最大斜度35度の坂道は発進時から粘り強いトルクを発揮する2.2LターボのスカイアクティブDの良さを実感。「急がずゆっくり」が基本のオフロードでは繊細なアクセルコントロールが必要となるが、踏んだ分だけ力を発揮する自然な特性は武器だ。さらに急坂を降りる際のブレーキコントロールの高さも絶妙である。じつはノーマルモードでも難なく走り切ってしまったが、CX-30のときと同じくOTAのときのほうがトラクションの掛かりが良いので安心感は高かった。ちなみに「360度モニター」のフロントビューモードはオフロード走行時の路面状況把握に役に立つ!!
ただ、ひとつ気になったのは走行後に見渡すとフロントバンパー下の樹脂部に路面と干渉したと思われる泥の跡が……。このあたりはデザインとの兼ね合いとオフロード走行の頻度を考えれば仕方ない部分かもしれないが、今後は走破性アップに合わせてアップデートが必要かもしれない。
総じて言うと、本格派ではないので無理は禁物ながらも、「マツダのクロスオーバー、見た目に似合わず意外とやるね!」である。今回の変更はOTAのスイッチ以外制御系のみなのでコスト的な部分も含めてユーザーメリットも大きい。
ただ、オフロード走破性が上がったと言われても、「スタイリッシュなエクステリヤを傷つけてしまいそう」と躊躇するユーザーがほとんどだろう。だからこそ、ユーザーをサポートするアイテムを用意してほしい。例えばマツダデザインが監修した「使い切りの外装保護シート」や、泥や汚れを防ぐ「シートカバー/フロアマット」といった純正用品設定や、マツダコネクトに「傾斜計」や「AWDモニター」の追加と言ったような、マツダの世界観を崩さずにオフロードを走ってみたくなるような演出も必要かもしれない。