なぜ富士スピードウェイで? 走らせた瞬間疑問は吹っ飛んだ
「AMGから試乗会の招待状が届いています」。編集部からそんな案内が届いたのは12月初旬のことだ。もちろん回答するのに時間は必要なかった。
ただ、試乗ステージが富士スピードウェイだと聞いて、はたと首を傾げた。というのも、その数日前には山梨県でメルセデスのオールラインアップ試乗会が開催されていた。日が近い年末に、わざわざ日を改めて試乗会を開催するには、とても公道では性能を試すことのできない、よほどのモンスターなのだろうと想像したわけだ。ちなみに富士スピードウエイを貸切るのは、相当に高い金額を支払わなければならない。
「試乗車は、『A 45 S』です」。その、モンスターと想像した車名を聞いて腰を抜かしかけた。わざわざグランプリサーキットを貸し切ってまで開催するにしては、小粒のような気がしたからである。
「GTクーペか「GT-R」か、あるいはもっと過激なマシンが日本上陸でもしたのか」。編集担当にそう問いただしたものの、メルセデスラインアップのなかの最小モデルの「A」だという。
なんともモヤモヤした気持ちのまま、当日の朝、富士スピードウェイに向かったのである。だから僕は、ヘルメットも持参していなかった。
ただし、試乗車の「A 45 S 4マチック+」を走らせた瞬間に、富士スピードウェイで開催した理由が判明した。とてもじゃないけれど、「A 45 S 4マチック+」の限界を公道で引き出すのはリスクを伴うことを悟ったのだ。
コントロール性は優れているから、公道であっても全く危険ではない。だが、とにかく速すぎるのだ。