高級車には広がる可能性がある!
と、いよいよ自動運転に大きく近づいたのか? と思ってしまうが、あくまで運転責任はドライバー側にある、レベル2の自動運転の範疇だ。高速道路の渋滞時などで、ドライバーが緊急時に直ちに対応できる状態にあるという限定された条件下で、走行中にスマホの操作やテレビの視聴などが可能な、いきなりハードルが高くなるレベル3とは異なる(法整備とは別問題)。
しかも、プロパイロット2.0のハンズオフ運転は現状、約60~90km/hの速度域での作動に限られる(±10km/hの猶予あり)。それ以上の速度域になると、セレナなどに搭載される、従来のプロパイロット(最新バージョン)として機能するのである。BMWのハンズオフ機能にしても、「ハンズオフ機能付き渋滞運転支援機能」と言うだけあり、作動は高速道路上の60km/h以下に制限。自動運転レベル2ということになる。
さて、ホンダが2020年に自動運転レベル3を実現する……というニュースが話題になっている今日このごろだが、ハンズオフ機能はこれから一気に広まるのだろうか? その答えのひとつが、高級・高額車に限れば広がる可能性がある、である。そうした技術は搭載車の少なさもあってまだまだ高額で、たとえば、スカイラインの場合、高精度3Dマップ(これも高価!)と7個のカメラ、ソナーを使った高速道路のナビ連動ルート走行&同一車線でのハンズオフ機能にかかるコストもしかり。
プロパイロット2.0が用意されるHVに、プロパイロット2.0なしのモデルが用意されないため、プロパイロット2.0単体価格の算出は難しいが、イメージとして50万円ぐらいだと思われる。つまり、セレナe-POWERなどのプロパイロットに対して、倍以上の金額、コストアップということになる。
もっとも、プロパイロット2.0はハンズオフ運転以外のメリットもある。それが高精度3Dマップと7個のカメラ、ソナーを使った高速道路のナビ連動ルート走行である。高速道路をペダル操作なしで走れる従来の全車速追従機能付きACC(アダプティブクルーズコントロール)は、80km/hにセットすると、前車追従、渋滞追従はしてくれるものの、前車がいないとカーブや料金所、高速道路の下口でも80km/hのまま突っ込んでしまう。
それが、プロパイロット2.0の高速道路のナビ連動ルート走行であれば、高精度3Dマップや速度標識の認識などによって、必要に応じてしっかり減速操作まで行ってくれるから安心だ(高速道路の出口でいきなり40km/h制限になるとそれに正直に従い、ドライバーの普段のブレーキング、減速よりも強い急減速を行うのだが……)。また、スカイラインのプロパイロット2.0で最大の関心事となるかもしれない自動車線変更については、ステアリングに手を添えている必要があり、ハンズオフ運転対象外である……。
つまり、現時点でのハンズオフは、ACCやレーンキープ機能と、自動運転レベル3をつなぐ過渡期的機能であり、先進的で便利ではあるものの、自動運転に大きく期待する内容、レベルとはちょっと違うと考えていい。コストを含めて、一部の高級・高額車には先進感ある商品力を高める意味で広がる可能性はあるものの(ホンダの自動運転技術レベル3搭載車も、自動運転機能なしの現行モデルで720万円オーバーとなるレジェンドと言われている)、コンパクトカーなど、売れ筋のクルマへの搭載は、技術やハードの価格が下がるまで、おあずけとなるはずである。ちなみに、スカイラインのプロパイロット2.0搭載車は、GT HYBRIDの557万5900円からだ。