この記事をまとめると
■あおり運転が話題となっているが、遅すぎる速度での運転は問題ないのだろうか
■道路交通法では一般道での法定最低速度は定められていない
■しかしすべての運転手には「安全運転の義務」が課されている
最低速度が指定される区間も存在!
2019年はあおり運転がずいぶんと話題になった。周囲に危険を感じさせるような「あおり運転」を批判しつつも、その原因となる無理な割り込みや極端な低速走行についても厳しく検挙すべき、という声もあがっている。では、一般道において制限速度・指定速度以下で走行した際の罰則はあるのだろうか?
道路交通法では一般道に法定最低速度を定めていない。どんなにゆっくり走っても構わないというのが道路交通法の基本だ。ただし、一般道であっても道路標識によって最低速度が指定されている区間においては、標識を下回る速度で走ることは違反となる。なお、最低速度の標識は、速度の数字にアンダーバーが付いているもので、見慣れていないと制限速度の標識と見間違えてしまうかもしれない。
言うまでもなく、一般道というのはさまざまな車両が走行している。50cc以下のエンジンを積む原付バイクは最高速度が30km/hに制限されているし、農耕用などの小型特殊自動車は最高速度が15km/hとなっている。こうした車両も走行するのが一般道であり、さらに、自転車も基本的には道路を走るべき車両だ。自転車といってもさまざまでスピードの出せるロードバイクもあるが、電動アシストタイプでは24km/hを境にアシストがなくなるようになっている。現実的には小型特殊自動車と同じ程度の速度といえる。
つまり、仮にすべての一般道で最低速度を設定するとしたら、小型特殊自動車やシティサイクル(いわゆるママチャリ)などを基準とすることになるだろう。つまり、四輪車からするとほとんど意味のない制限になる。
また、クレーン車などの大型特殊自動車については自主規制で最高速度が49km/hとなっている(後述する高速道路の最低速度を満たせないという意味)。このように最高速度が制限されている車両も混在している中で、安易に最低速度の設定を主張するのは非現実的だということが理解できよう。