スポーツカーよりも小型車のEVが求められている
電気自動車(EV)のスポーツカーとして、ポルシェのタイカンが発売され、2020年には日本に導入される予定だ。また、英国のロータスからは、エヴァイアが19年に公開されている。米国のテスラも、次期ロードスターの話がある。EVスポーツカーの動きは、少しずつ前進している。
しかし、いまEVに求められているのは、一般庶民が購入できるEVの登場だ。日本では、三菱自動車工業から2009年に軽自動車のi‐MiEVが登場し、そののちに商用軽のミニキャブMiEVのバンとトラックまで出されたが、その後が続かない。
ドイツでは、BMWからi3と、フォルクスワーゲン(VW)からeゴルフが発売されたが、VWでいえばポロやアップのような車種にEVが生まれなければ、多くの人は購入できない。実際にドイツでは、すでに都心へのディーゼル車の流入が各都市で制限されているため、EURO4や5のディーゼル車に乗っている庶民が買い替えに苦慮している現状がある。
小型車のEVが求められているのに登場しにくいのは、リチウムイオンバッテリーの原価がまだ高いとされるせいで、なおかつ、欧州の自動車メーカーはまだEVを作りなれていないため、どのようなEVであれば顧客満足を得られ、なおかつ価格を抑えられるかの知見が不足している。そこで、高額な上級車種のEVやプラグインハイブリッド車(PHEV)の導入をせざるを得ない状況にある。アップのEVは結局日本に導入されず、スマートEVも一時中断され、先の第46回東京モーターショーで次期モデルが出展された程度だ。
そのなかで、ようやくスポーツカーにもEVという発想が生まれたばかりであり、簡単にスポーツカーやスーパーカーが増えるとは考えにくい。