【なぜ3気筒だけに?】過去にはV2や直2や直4などもあったのに軽自動車のエンジンが直3しかなくなったワケ (1/2ページ)

過去は2気筒が主流で直4やV型も存在した

 2019年現在、新車販売されている軽自動車のエンジンは3気筒しかありません。乗用車用エンジンをピックアップすると、ダイハツはKF型、スズキはR06A型と新型ハスラーに搭載するR06D型、ホンダはS07A型とS07B型、日産・三菱は3B20型とBR06型を採用しています。いずれも3気筒DOHCエンジンです。しかし、軽自動車のエンジンは3気筒にすべしと規格で定められているわけではありません。なぜ、現行モデルについて軽自動車のエンジンは3気筒ばかりとなっているのでしょうか。

 かつて軽自動車の排気量は360ccだったり、550ccだったりしていたのですが、そのころのエンジンは2気筒が主流でした。360cc時代でいえば、スバル360は2ストローク2気筒、ホンダN360は4ストローク2気筒で、いずれも並列(直列)レイアウトの空冷でした。

 しかし360ccの時代は2気筒しかなかったわけではありません。スズキはフロンテクーペなどに2ストローク3気筒エンジンを積んでいました。4ストローク6気筒エンジンに匹敵する滑らかさというのがウリのエンジンでした。またユニークなエンジンといえば当時はオリジナルの軽自動車を作っていたマツダです。R360クーペにはV型2気筒の4ストロークエンジンを、キャロルには直列4気筒の4ストロークエンジンを、どちらもリヤに搭載していたことも記憶に残ります。

 軽自動車の規格が改正され、排気量が550ccに上げられた1980年代になっても2気筒が主力だったのは変わりません。環境対応から空冷・2ストロークは徐々に消えていき水冷・4ストロークにシフトしましたが、それでも主流は2気筒でした。スバル・レックス、ホンダ・トゥデイといったモデルは2気筒でしたし、軽自動車初のターボエンジンを積んだ三菱ミニカも2気筒でした(このモデルはFRレイアウト)。ダイハツ・ミラも初代モデルは2気筒でした。3気筒エンジンなのはスズキくらいというイメージでした。このころまでは、軽自動車といえば2気筒エンジンというイメージが強かったのです。

 そういう意味では軽自動車は3気筒にこだわってきたわけではありません。むしろ、3気筒はコスト高ながら振動面や性能面では2気筒より有利な高級なエンジンというイメージさえありました。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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