【不適正でも免許は取れる……】教習所で最初に行う運転適性検査にはどんな意味があるのか? (2/2ページ)

自分の弱点を意識することで安全運転につなげるための検査

 全体の印象としてはIQテストのような問題と心理テストで見かけるような内容が混ざったもの。注意力や判断力といった運動機能については同じような形や数字の中から一定の条件を満たすものや同じグループをピックアップするといった試験をイメージしてもらうと想像できるかもしれません。また、試験項目ごとに制限時間があるのですが、ゆっくりやっていると最後まで回答できないことになるくらい短いものです。素早く答える必要があります。

 結果としてすべてがA判定であれば文句なしに運転適性があるといえるのでしょうが、誰もがそうはいかないでしょう。だからといってD判定やE判定があるから運転するな、というものではありません。あくまでも、自分の弱点を意識することで、安全運転につなげるための検査です。

 今回、齢50にして運転適性検査を受けたのですが、おそらく10代であろう一緒に受けた若者はマークシート式の試験慣れをしているのか、スラスラと回答用紙に書き込んでいる様子がうかがえます。一方、こちらは久しぶりのマークシートを目の前に、最初はドギマギしているうちに制限時間が終わってしまい、ある項目については最後まで回答できないということもありました。慣れの問題もあるでしょうが、老化もあるでしょう。正直、検査結果がどうこうという以前の問題として、10代の若者と机を並べて、試験を受けたときのスピードの違いに、年齢によるパフォーマンスダウンを実感させられました。

 運転適性の結果に加え、老化を実感することでも安全運転につなげることができれば、この検査を受けた意味があるというものです。現実的に、安全運転というのは運転技術が生み出すものではなく、ドライバーの心構えによる部分が大きく影響します。その基本となる自分自身の特性を理解することが重要というのが、運転適性検査の目的です。意味がないと思うのではなく、意味があるように活用すべきものといえるでしょう。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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