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【正月休みに見てほしい!】レーシングドライバーでさえ見入ってしまう本格的レース映画(後編) (1/2ページ)

【正月休みに見てほしい!】レーシングドライバーでさえ見入ってしまう本格的レース映画(後編)

ノンフィクションと言ってもいいほどに現実的な作品も

 モータースポーツをテーマにした映画は世の中に数多くあれど、ノンフィクションは別として真実の姿を如実に表している作品は意外と少ない。映画である以上、娯楽性は重要だが、ストーリーは別として描かれるレースシーンがめちゃくちゃではクルマ好きとしては興ざめしてしまうのだ。

 そこで、これまで見た映画と、自分がカーレーサーとして体験した現実とが見事にマッチして表現されている幾つかの名作を紹介してみたい。前回の前編では「栄光のル・マン」を紹介したが、今回は後編となる。

「グランプリ」

 1966年に公開された「グランプリ」。この映画もまた現実を忠実に再現していたことがわかり今になって大いに感妙を受けている。舞台は当時からモータースポーツの頂点であるF1グランプリシリーズ。ジャッキー・スチュアートやグラハム・ヒルなど本物のF1チャンピオンも登場している。

 当時のシリーズ開幕戦はモナコGPで、映画もモナコGPのシーンから始まる。実際にコースを走らせオンボードカメラで迫力ある走行シーンが収められている。マシンは本物のF1ではなくF3マシンを改造したもののようだったが、実際のコースを走行しているシーンはグランプリウィークに収められたものだろう。当時のモナコの街並やグランプリの雰囲気が絶妙に伝わってくる。

 モナコGPではクラッシュで海に落ちてしまうシーンもあるが、これは過去に実際に起こったアクシデントを手本にしていて当時海上に待機していたレスキューなども描かれている。このアクシデントでシートを失った主人公が名門チームに自分を売り込むが、そのチーム内での確執やレーサーの置かれる立ち位置の微妙さが見事に再現されている。名門フェラーリの本拠地であるイタリアのフィオラノにあるガレージやテストコースもストーリーの中に収められ、実際に見ることも体験することもできない世界が描かれているのだ。

 主人公は結局日本のチーム(当時のホンダF1チームがイメージされている)に搭乗することになり、グランプリで接戦を展開していく。ベルギーGPのスパ・フランコルシャン、フランスGPのクレルモンフェラン、ドイツGPのニュルブルクリンク、オランダGPはザントフォールト、アメリカGPのワトキンスグレン、メキシコGPはエルマノス・ロドリゲス、イギリスGPではブランズハッチ、イタリアGPのモンツアと当時のサーキットがそのままの姿で見られ、世界を転戦するF1レーサーの生活スタイルも忠実に描かれていた。とくにモンツアのシーンは今では使用されなくなった超高速のバンクを使っての走行シーンが見事で、サスペンションの動きやドライバーのステアリングワークなども見て取れる。

 これはもうノンフィクションと言ってもいいほどに現実的な作品だった。F1GPをテーマにしたノンフィクション作品として「ラッシュ」が2013年に公開され故ニキ・ラウダと故ジェームズ・ハントの死闘が描かれているが、ほとんどがCGであり、この「グランプリ」の本物感とは比較にならなかったと思う。

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