プラットフォームは「ハーテクト」に一新
こうしたデザインや機能面以上に進化しているのは、走りのメカニズムだろう。初代ハスラーは、スズキのFF車系軽自動車では最後の旧世代プラットフォーム採用車だったのだが、これがようやく新世代の「ハーテクト」に一新された。だがそれだけには留まらず、各ピラーとクロスメンバーをつなぎ合わせる環状骨格構造としたほか、構造用接着剤をスズキで初めて、高減衰マスチックシーラーを軽自動車で初めて採用。ボディ剛性を高め操縦安定性や乗り心地を向上させるとともに、不快な音や振動の発生を抑えているという。
パワートレインも、ターボエンジン以外は「ほぼ別物」とスズキ開発陣が豪語するほど、大幅に改良の手が加えられている。自然吸気エンジンは、スズキの軽自動車では初めてデュアルインジェクションシステムとクールドEGRを採用したR06D型に変更。ボア×ストローク比と圧縮比も変更されており、より広い範囲で熱効率を高めているとのこと。
またCVTは全車とも、新型スペーシアのものをベースとしながら、ベルトとトルクコンバーターを変更し、2ポートオイルポンプを新たに採用。全車に搭載されることとなったマイルドハイブリッドも、モーターの出力向上やバッテリーの充放電効率改善により、モーターアシストの領域が拡大されているようだ。そのほか4WD車には、発進時のエンジン出力を抑えるとともにブレーキ制御も併用する「スノーモード」が追加された。
予防安全システム「スズキセーフティサポート」も、「デュアルカメラブレーキサポート」が標識や夜間の歩行者も検知可能になるとともに、後退時衝突被害軽減ブレーキ機能が追加。ターボ車にはさらに、スズキの軽自動車では初めて、全車速追従アダプティブクルーズコントロール(ACC)と車線逸脱抑制機能を設定している。
あらゆる面で正常進化を果たした新型ハスラーは、2020年1月20日より販売が開始され、グレード構成および価格は別表の通り。車両本体価格が200万円を超える軽自動車が珍しくなくなっている昨今にあって、極めて安価な設定にされていると言えるだろう。初代に続く大ヒット作となる可能性は高い。